北斎づくし2021のツイートまとめ
2021年に六本木ミッドタウンホールで開催された葛飾北斎の展示「北斎づくし」ツイートのまとめ。(テキストは適宜修正。)
目の前に一個のでっかーい岩があるとする。そこに天女が空から降りて来て、その羽衣で岩の岩肌をひと撫でして空に帰って行く。
また、天女が空から降りて来て、羽衣でひと撫でして空に戻る。
それを延々と繰り返して、天女の羽衣に撫で尽くされて岩がなくなるまでの時間が一劫。
アフロ菩薩で有名な、五劫思惟の法蔵菩薩は天女が岩を五個撫で尽くす時間をかけて、衆生を救うための四十八願ってやつを考えていたそうで。
この、天女が岩を撫で尽くして、岩が塵と消えるような時間の移り変わりの感覚を、自分で似たものを感じるような現象を探せずにいたのだけど、あった。
浮世絵の版木は摺られる度に磨耗して、紙に摺られる絵の線が鈍くボケていく。北斎づくしで見た初摺りと後摺りの比較は誰にでもはっきりわかるほど、後摺りの線がゆるく、細部が落ちていた。
ばれんで版木を摺る力は、天女が羽衣で岩肌を撫でる力よりは強いので、天女が岩を撫で尽くす間と言われる一劫は、結局、よくわからない長い時間なのだけど、浮世絵の版木が摺りで磨耗する事を思い出し、確かに、岩も羽衣で撫で続けられたら小さくなっていつかは塵と消えていくかもな、と体のリアル感覚に落ちた。
北斎づくしは、最初のフロアで巨大な北斎包装紙にラッピングされて、西洋に出荷される焼き物の気分を味わいながら、北斎漫画のディテールも味わうテーマパーク的な感じがよかった。
揃いの冨嶽三十六景をぐるんとほぼ360°で眺められる配置も富士山を比べやすくて気が利いてる。
江戸の風景と風俗を描き抜いて、晩年には仏画がテーマに入ったというのはどこかで読んだ気がするが、「釈迦御一代記図会」と、釈迦の生涯を描いていたのは知らなかった。
馬琴との水滸伝フロアの壁、「佛勅によりて目連活地獄に提婆をすくふ図」前北斎卍老人。
全部印刷物で、肉筆じゃないから、本やネットで見るのでもある意味同じで、ゆっくりジーっと見るには本とかの方がいいかもなんだけど、本で見てるより展示の方が何か引っかかるものが多いかもしれない。
身体ごと移動して上下左右、明るさ暗さ全身使った。
#北斎づくし
一般的な美術館や博物館の企画展とは少し違って、展示開場全体が「北斎づくし」テーマパークになっていた。
2015年くらいから、ネイキッドとかチームラボみたいなデジタル技術体験型アートスペースが増えて、デートや友達、家族で楽しむ方向に人気がでてきたから、アカデミックな方面もジョイントしたのかな。
デカい北斎絵本の中を動き回って遊べる感じが良かった。