「報・連・相」を重視する企業ほど、離職率が高い話
この時期、多くの新入社員が研修を受けている頃だと思います。
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そんな中、必ずどの企業も“社会人の基礎”と教える「報・連・相」。
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多くの企業が「報・連・相」を強調し、それが大切だと信じる一方で、実はそのような企業ほど従業員の離職率が高い傾向にあります。
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今回は多くの企業が行っている残念なマネジメントの代表格「報・連・相」をテーマに、若者の人材定着を高めるマネイジメントの方法についてお伝えしたいと思います。
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バカの一つ覚え「報・連・相」
なぜ、今までビジネスの世界で信仰されていた「報・連・相」をバカの一つ覚えと揶揄するのかと言うと、これが“60年前には最適だった、製造業のためのマネジメント法”だからです。
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そして何よりも残念なのは、日本企業のほとんどの管理職や上司が、このマネジメント法しか知らないがために、起こっている問題に気づいていないという点です。
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「相談はほぼ無い」が前提のテーラー式マネイジメント
「報・連・相」概念が日本で普及したのは1980年代と言われていますが、製造業においては進捗状況やパフォーマンスを管理する手法である「Production Status Reporting」のプロセスの一部に、似たような概念が60年以上前から存在していました。
この頃、大手自動車メーカーのフォードが確立した「テーラー式マネジメント」を日本の製造業でも採用し始め、“簡単な作業を正確に速く”行わせることが管理職の一番の仕事になりました。
管理職が“簡単な作業を正確に速く行わせる”ために利用する便利なツールとして、「報・連・相」という言葉が全盛だった製造業を中心に1980年頃広く普及したわけです。
このマネジメントの重要なポイントは「シンプル&決まった作業のみ」であるため、報・連・相の“相談がほぼ発生しない”点にあります。
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つまり、柔軟な判断が必要な仕事や、複雑な仕事には向かない手法なのですが、現在多くの他業種企業で無理やりこのマネジメントを行っているため、職場で様々な問題と不和を発生させています。
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皆さんも一度は、この様な上司の声を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
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「そんなことまで聞くな!自分で考えろ!」
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現代の仕事は「柔軟な対応」が必要なものばかり
2024年の産業別就業者数の割合は、高い業種から並べると下記の通りです。
製造業が中心ではなくなった現在では、多くの職場で柔軟&スピーディーな判断が求められるにも関わらず、部下は相談してよい事案かどうかの判断を“上司・管理職の感覚”に委ねなければなりません。
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相談の基準が曖昧かつ、人によって異なるため、その内「もう全部勝手に決めてください」と判断を放棄する部下が増え始める。
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その結果、多くの管理職や上司がボヤキ始めます…
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「指示待ちの人材しかいない」と。
「役割・権限・責任」の明示化がカギ
マネジメントに関する国際比較の調査で、日本のマネジメントには下記の特徴がみられることが分かっています。
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役職や担当者ごとに「役割」を明確にしない
「成果」を何で測るかや、評価の指標が曖昧
「権限の範囲」が曖昧
また、同社の別の調査では、「自身の権限の範囲を把握している」と答えた管理職の割合が10%以下だったという結果もあります。
つまり、多くの管理職はテーラー式マネジメントしか知らないがために、役割・権限・責任の範囲などを事前に明確にして、与えた範囲の中で部下に意思決定をさせることができないのです。
それにより、無意味な報告や連絡、相談が横行し、
生産性・意思決定スピードの低下
意思決定ができる人材が育たない
と行った問題を、気づかない内に抱えてしまっています。
離職率を高める、絶対にやってはいけないこと
上司や管理職の曖昧な感覚で運用される「報・連・相」から脱却し、現代にあったマネジメントを行うためには下記の流れが重要になります。
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役割・権限・責任の範囲を事前に明確化
成果・評価の基準と優先順を事前に共有する
与えた範囲の中で、意思決定を行わせる
結果に対してフィードバックを行う
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ここで、離職率に大きく関わる最も重要なことをお伝えします。
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それは工程③において、“部下が与えられた権限の範囲で決めたことを、管理職や上司が絶対に途中で覆してはいけない”ということです。
これを管理職が守れないことで何が起こるかと言うと、部下は「自分で意思決定をしていないのに、結果の責任だけを負わされる」構図になってしまうのです。
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この場合、当然部下は自身の評価も下げることになります。
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前回の記事でお伝えした「求職者が企業を選ぶ基準」の中で挙げられていた
柔軟性
公平性(正当制)
を損なうマネジメントであり、特に若者の離職率に大きく影響してしまうのです。
まとめ
旧世代のマネジメントの弊害は、なにも若者だけに悪影響を与えているワケではありません。
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日本経済団体連合会(経団連)が実施した調査によれば、日本企業における平均的な離職率は年間約10%に上り、そのうち約40%が管理職の離職であることが明らかになっています。
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企業は古典的な手法に固執するのではなく、現代のニーズに合った柔軟なマネジメント手法を採用し、従業員の成長と組織の発展を促す努力が必要なのではないでしょうか。