不思議な安心感
龍虎塔の最寄駅に着いて外に出ると、そこからが本番だった。
駅から出ると、観光地を示してる。それっぽい看板を目印に順調に進んだつもりだった。
この日も日差しが強く、何か冷たいものが欲しい…そんな時だった。
しかし、どうしてもたどり着かない。大きい池が目印であるはずであるから、すぐ見つかると思っていたのだが…
道を行ったり来たりしていると、お店の店員さんが怪訝な眼差しを向けてくるように思えた。「自分、相当変な人に見えているんだろうな」
と思いつつも探した。探した。
道端に座っているおじさんに場所を聞く。
が、場所を指差すでもなく。僕にとっては呪文としか言いようのない。言語の、いや、言語なのかすらわからないことをぶつぶつと言ってくる。どうしようもなく、ひたすらに「謝謝」を繰り返し、立ち去った。
このままうろちょろしていても拉致があかない。そう思い、「孔子廟」の文字を見つけた僕は、もうそれを見に行こう、と割り切った。
なんとも単純な男である。
そちらに向かうと、なんと池が見えるではないか。ちょうど、僕が右往左往していた場所からは、塀が邪魔して見えなかったのだ。
その後、孔子廟を見て、池の周りを回ることにした。
途中で市場を見かけ。
現地の人と同じ生活をする。それが旅の良さだと言っているわりに、こういう市場で食べ物を買ったことがないと思い。食べ物を探した。
物色していると、スターフルーツが山盛り売っている場所があった。
タイで食べたそれは甘さと酸味が絶妙で美味しかった。そんなことを思い出しては買わない理由がなかった。
なにせ、喉が渇いていたし、お腹も空いていた。両方満たせるのはフルーツだけだと思ったからだ。
「1つください」というと、3つからしか売れないという…
結局、三人のおじさんと交渉した結果。僕は3つスターフルーツを購入する羽目になった。
フルーツは生で食べてもお腹を壊さないと聞いていたので、池のほとりで1人、スターフルーツにパクついた。
期待を優に裏切ったそれは、気温のせいでやぬるく、甘さも酸味も微妙…
お腹だけは満たされたが…
ゴミをおじさん達に渡し、池を回った。
本当にいい場所だった。
池の周りを歩きながら、風にあたる。
塔に登り、周りを見渡す。
日本にいる時とは全然違う。異空間のように感じた。何か日本と重なるようなところもあるが、確実に違う。不思議な感じだった。が、落ち着く。そんな場所だった。