「アラビアの夜の種族」を推理する(その①)
ついったの方でアラ夜について推理してきましたが、推理の結論しか文章にしておらず、推理の過程をすっ飛ばしていたので傍目からは意味不明だったと思います。ごめんなさい( ;´・ω・`)
ちゃんと推理の過程を提示しますので、良ければ見てやって下さい。
そして矛盾等あればご指摘オナシャス
それではレッツゴー
1ジンニーアについて
~ジンニーアの正体~
アラ夜が推理モノだと気付いたきっかけは、邪神ジンニーアです。
私は少し前、創作のネタ集めのために人魚について調べていたのですが、その時人魚の一種「メリュジーヌ」が検索に出てきました。
メリュジーヌというのは、スタバのロゴになっているあの上半身裸の二股の人魚です。
「メリュジーヌが二股なのってジンニーアに似てるな」などと思いつつメリュジーヌの伝承を詳しく見ていくと、以下のような事が分かりました。
・メリュジーヌは富をもたらす
・奇妙な職工集団を使って城を建てる
・奇形児を生む
・土曜日に下半身竜になる
・人に見られてはいけないと言われてた竜の姿を夫に見られ、蛇又はドラゴンになる(見るなのタブー)
・メリュジーヌはフランスの伝承
※メリュジーヌの情報はこちらhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8C
メリュジーヌのこれらの要素は、全てアラ夜に組み込まれているものです。
以下、アラ夜とメリュジーヌ伝説の共通点
・メリュジーヌは富をもたらす
⇒ジンニーアはアーダムに力を与え、彼を王にした
・奇妙な職工集団を使って城を建てる
⇒奇人の地図職人を使って阿房宮を改築した
・奇形児を生む
⇒ジンニスタンの大量の蛇はジンニーアの子供かも?
・土曜日に下半身竜になる
⇒土曜日は土星と関わりがあり、土星はアラビア語でゾハル
・夫に竜になった姿を見られ、蛇又はドラゴンになる(いわゆる「見るなのタブー」)
⇒未来の夢を見たアーダムに、彼を殺そうとしていたことを知られる
・メリュジーヌはフランスの伝承
⇒アラ夜の作中で、フランスがエジプトに侵攻してきている
……以上のことから、「ジンニーアの正体は多分メリュジーヌ」だと私は考えました。
~ジンニーア=メリュジーヌ説の矛盾点~
しかし、ジンニーアが本当にメリュジーヌとすると、幾つか矛盾や疑問が出てきます。
矛盾
・作中作「ゾハルの物語」の舞台はフランスではなく上エジプト
・フランスの伝承でメリュジーヌは夫に拒絶されて泣いている悲劇のヒロインだけど、アラ夜のジンニーアはそういうキャラじゃない
・メリュジーヌの伝承では、彼女はフランスの王の先祖になったとされている。でもアラ夜にそういう設定は出てこない
しかしこれらの矛盾はあれど、ジンニーアとメリュジーヌが赤の他人と言い切るには共通点が多すぎるように思えました。
なので私は、下のような解釈で矛盾点を(ムリヤリ)解消しようとしました
矛盾
・作中作「ゾハルの物語」の舞台はフランスではなく上エジプト
⇒解釈①
ズームルッドが物語をアラビアンナイトっぽくするために、舞台をフランスから上エジプトに書き換えた
⇒解釈②
上エジプトのゾハルは、謎の時空の歪みでフランスと繋がっている(そして、それがナポレオンがエジプトを侵略した原因となった…とか??)
⇒解釈③
メリュジーヌは昔フランスにいたけど、最初の男にフラれた後に上エジプトに引っ越し、そこでアーダムと出会った
・フランスの伝承でメリュジーヌは夫に拒絶されて泣いているけど、アラ夜のジンニーアはそういうキャラじゃない
⇒解釈①
作者の古川先生的に、悲劇のヒロインはタイプじゃなかったのかも
⇒解釈②
ジンニーアも実はアーダムのことを愛していた。アーダムに拒絶されたあと、見えない所で泣いていた
・メリュジーヌの伝承では、彼女はフランスの王の先祖になったとされている。でもアラ夜にそういう設定は出てこない
⇒解釈①
実はアーダムとサフィアーンはジンニーアの先祖?(日本のヤマタノオロチ伝説のように、蛇の尾から剣が取れる伝説が各地にあるらしい。アーダムとサフィアーンが持っていたナイフや霊剣は、元々ジンニーアの尻尾にあったものだったり?)
続いて、これらの解釈を検証してみました。
❶作中作「ゾハルの物語」の舞台はフランスではなく上エジプト
⇒解釈①
ズームルッドが物語をアラビアンナイトっぽくするために、舞台をフランスから上エジプトに書き換えた……△(確かにアーダムの国やゾハルがどこかは明記されていないけど、舞台がフランスと断定できる要素がない)
⇒解釈②
上エジプトのゾハルは、謎の時空の歪みでフランスと繋がっている(そして、それがナポレオンがエジプトを侵略した原因となった…とか??) ……△(だとしても、なぜエジプトとフランスが繋がってるか分からない。根拠が薄い)
⇒解釈③
メリュジーヌは昔フランスにいたけど、最初の男にフラれた後に上エジプトに引っ越し、そこでアーダムと出会った……△(あり得るけど、なぜ引っ越し先がエジプトだったのか分からない)
❷フランスの伝承ではメリュジーヌは夫に拒絶されて泣いている悲劇のヒロインだけど、アラ夜のジンニーアはそういうキャラじゃない
⇒解釈①
作者の古川先生的に、悲劇のヒロインはタイプじゃなかったのかも……×(古川先生の書くヒロインは生命力強い子が多いけど、悲劇のヒロインもいる。わざわざ伝承を歪曲してまでジンニーアをビ〇チキャラにしないと思う)
⇒解釈②
ジンニーアも実はアーダムのことを愛していた。アーダムに拒絶されたあと、見えない所で泣いていた……△~〇(※根拠は後述)
❸メリュジーヌの伝承では、彼女はフランスの王の先祖になったとされている。でもアラ夜にそういう設定は出てこない
⇒解釈①
実は、王様になった人たち(アーダムとサフィアーン)はジンニーアの先祖?(日本のヤマタノオロチ伝説のように、蛇の尾から剣が取れる伝説が各地にあるらしい。アーダムとサフィアーンが持っていたナイフや霊剣は、元々ジンニーアの尻尾にあったものだったり?)……△(あり得るけど、アーダムやサフィアーンの出身王家がどこか分からない以上何とも…)
ここで矛盾点❷の解釈②、「アーダム実は愛されてた説」に注目したいと思います。。
~アーダム愛され説~
❷フランスの伝承でメリュジーヌは夫に拒絶されて泣いているけど、アラ夜のジンニーアはそういうキャラじゃない
⇒解釈②
ジンニーアも実はアーダムのことを愛していた。アーダムに拒絶されたあと、見えない所で泣いていた……〇~△
こちら赤字で〇~△としていますが、これはかなり妥当性が高いという意味で付けました笑
ジンニーアがアーダムを殺そうとしていたのは確かだし、ジンニーアがアーダムをジンニスタンを脱出するための道具と見なしていたのも確かです。
加えて、ジンニーアがアーダムを憎む理由は十二分にあると思うし、実際アーダムをファラーに殺させたし、しかも直後にその当のファラーとよろしくヤってましたし。
ですがジンニーアがアーダムを憎んでいて、殺意もあったとしても、愛していなかった事にはならないと思います。
良く言うように、愛の反対は無関心であって憎悪ではないので。
アーダムが愛されていなかったと言いきれない根拠は以下の通りです。
① ジンニーアのような地母神系女神は大体、愛人が死んだ時泣いてあげている(イシスやアフロディーテ)
② ジンニーアは資質ある魔術師を夫に望んでいたけれど、それならアーダム以外でも良かった筈。ジンニーアと出会った当初、アーダムの魔術の技量は人並みだった。それでもアーダムに拘ったのは、資質以外の理由があったからでは?例えば惚れてたとか
③ ジンニーアは面食いではないし、邪悪な行動を嫌悪しない。
④ アーダムがジンニーアに愛を告白したのは最後の最後。そしてジンニーアはアーダムの告白に返答する前に(依り代を)殺されてしまった。もし返答する暇があったなら、ジンニーアはアーダムに愛を伝えていたかも知れない
⑤ ジンニーアがアーダムと会話する機会は、アーダムが1巻の最後でジンニーアを断罪して閉じ込めて以降は一切なかった なのでジンニーアのアーダムに対する本心は分からない
⑥ ズームルッドは「死体は死者が最後の審判の時に復活するために必要」と言っていた。アーダムの復活阻止のため、万全を期すならファラーの回収したアーダムのミイラは燃やした方がいい。けれどジンニーアがアーダムのミイラを燃やす描写はない。もしジンニーアがアーダムの蘇生を望むなら、ミイラは何処かに大切に保管しているはず
⑦ ジンニーアは愛人アーダムを殺したファラーと普通にセッ久してたけど、ジンニーアみたいな大地母神にとってセッ久なんて多分呼吸と同じ(アーダムの方もジンニーアを愛してたけど、他の何千人もの女と関係持ってる)。ファラーとのあれは、恋愛感情抜きのジンニスタンを脱出するための性魔術では?
以上が私の考える「アーダム愛され説」です!
~まとめ~
・ジンニーアの正体はフランスの伝承にあるメリュジーヌの可能性が高い!
・しかしジンニーアがフランスのメリュジーヌとすると、なぜ上エジプトにいるのか分からない。また、ジンニーア=メリュジーヌなら彼女は王族の祖先の筈。でもアラ夜の作中でジンニーアとアーダム/サフィアーンの血縁関係は示されていない
・ジンニーアはアーダムを愛していなかったとは言い切れない!