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妻子との出逢い。③~完~

深呼吸…

…よし。ピンポーン。

インターフォンを押す手が震えていた。


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某有名ライブ配信サイトを始めて一ヵ月が過ぎたころ。

自分でも生主となって放送を行っていた。やってみたら意外とできるもので、楽しくてほぼ毎日のように配信していた。

もちろん声が気に入ったあの女性の放送にも通い詰めていた。

年齢は私より27歳とし上のようだ。母より1歳とし上。とてもそのような印象は受けなかった。

”2歳の息子”と、”同棲している同年齢の男性”の3人暮らしらしい。

どうやら少し複雑な家庭環境のようだった。

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この時にはすでに、彼女に惹かれていたのだろう。

放送に毎回欠かさずに通い、必死に目立つようなコメントを打ち、スカイプをダウンロードして連絡先交換をして、複数人とではあるが放送外での交流もしていた。

私自身、最初は年齢の差に戸惑っていた。

先に言っておくが、熟女好きだとかそういった性癖があるわけではない。   
それなりに恋愛経験もあったと思っている。                

ましてや子持ちで同棲している男性がいる。


仕方ないだろう、好きになってしまったものは。

”恋する気持ちには年齢差だろうが相手がいようが関係ない”という言葉が脳内を制圧していった。

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22歳の4月。
彼女と同棲中であった男性が、ご実家の都合により同棲することができなくなったことを私は知り、秘めていた思いを我慢することができなくなった。

その思いを文字通りぶちまけた1週間後、交際OKの返事をもらえた。(もちろん色々とあったが、それらは別の機会に記事に。)


"👨22歳"と"👩49歳"
"27歳差カップル"が誕生した瞬間であった。

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放送以外での時間が多くなった。もちろんビデオ通話などもしてお互い画面越しではあるが、顔を見ながら話しもたくさんした。

お互いのことをたくさん知っていった。

彼女の息子ともたくさん話した。と言ってもまだまだ言葉を話せなかったので、仕草や反応を見て、私が"かわいいかわいい"と騒いでいた感じだ。


会いたいという気持ちを解放するのは簡単だった。

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6月。

彼女の子どもが通う保育所のお祭り行事をキッカケに、私は会いに行くことになった。

静岡から夜に高速バスへ乗り込み、翌朝に大阪へ到着した。

あの時はすごい緊張をしていたな。
ビデオ通話をしていたとは言え、実際に会うというのは全く違う。

家へ近づくにつれ、鼓動が早くなる。

最初になんて言葉をいったらいい?
こんにちは?いやいや固い。
どんな反応をされるだろう。
服こんなんでよかったかな?
子どもは懐いてくれるかな?
親戚の子だったか、顔がこわいって泣かれたことあったけど大丈夫かな?

頭がパニックになっていた。


気づいたらもう玄関前に着いていた。


深呼吸…


…よし。ピンポーン。

インターフォンを押す手が震えていた。

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…ガチャっ。
ゆっくりと玄関が開いていく。

ビデオ通話でしか見たことのない彼女が、そこに現れた。
画面越しよりも明るい印象だった。


やっと会えた。
嬉しさで言葉が出てこなかった。


"抱きしめたいと思った。"


その瞬間であった。



逃げられた。!?(; ̄□ ̄)≡≡≡ヘ(*--)ノ


まぁ恥ずかしさのあまりに…といった感じだったので、上がらせてもらうことにした。

かわいいな。まさか逃げるとは(笑)

そんなことを思いながら靴を脱ぎ、彼女が逃げ込んでいった部屋へ向かおうとした。

ふと、ベビー用サークルで仕切られてる部屋が目に入り、そっと部屋を覗き込んだ。

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今でも鮮明に思い出せる。


サークル越しに、ちょこんっと座りながら”なんだなんだ!?”と目をまん丸くしてこちらを見ている"小さな男の子"と目が合った。

すごく可愛かったな。


”あぁ。この子を守っていこう。”


心で誓った瞬間であった。


【妻子と出会うまで。】

~完~

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