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咄嗟の一言にこそ人柄がでる、窮地の場面で返ってきた言葉とは・・・


寒さが厳しくなる前に、少し遠くの公園まで運動不足解消のために出かけよう、そんなある日。

目的地までは約8キロ、歩いて1時間半ほど。

楽しみもないと頑張れないのでまずはお腹を満たしてからと、最初の目的地をお鮨屋さんに設定しランチも兼ねて出発!

運動がてらということもあり荷物は極力コンパクトに、夫はランニングスタイルで家を出た。

目的のお鮨屋さんまでは歩いて30分弱。

到着し、お店に入る。

カウンターと御座敷があり、御座敷では平日の昼間からおじちゃん達が宴会をしている。今どき珍しい昔ながらのお店。

カウンターには職人さんが3〜4人。そこまで大きいお店ではないものの頻繁に電話も鳴る、賑やかな雰囲気。

ショーケースには大ぶりの切り身が並び、気分はまるで伊豆お鮨屋さん。
少し足を伸ばした近所に旅行気分が味わえるお店があるなんて嬉しい!と高揚した気分でカウンターの席に着く。

ランチメニューの中から少し贅沢な握りを注文。

カウンター越しには見事な手捌きで握られていく様子がよく見える。どんどんお鮨が握られ、巻物が巻かれていく様子はまるでYouTube動画のよう。ずっと見ていられる〜

隣では、夫が静かにスマホで何かを調べ始める。

私は目の前で繰り広げられる職人さんの手捌きに夢中。
そんな中、思いもよらない言葉が聞こえた。

「ここカード使えないよ」

「えっ!」


私→(実は)財布忘れた。所持している支払い方法は、スマホの電子マネー・交通系ICのみ。

夫→軽装スタイルのため、念のための千円札3枚とクレジットカード1枚のみ。

メニューに目を向け注文した品をを再度確認する。

2400円のお昼のおすすめと、1700円の握り。
計4100円也。

どう考えても足りない。

...!!

もうすでに運ばれてきたランチサービスのミニサラダを食べ始めているし、後戻りはできない。

こんなことなら、いちばんリーズナブルな握りを注文していたのに...!

「皿洗いして帰る?」とか冗談を言えるのも最初だけ。心のうちはお互いドキドキ。

そんな最悪な状況の中、カウンター越しに握りが差し出された。

“わぁ〜美味しそう”とリアクションせずにはいられない。

心配が止まらない夫には、
「食べログ情報が古いだけで何かしらのキャッシュレスが使えるようになっているかもしれないよ」と、お得意の安易な考えをを擦りつけ一旦この問題は忘れようと話す。

まずは、この美しいお鮨に意識を集中させたい。

手元のお鮨に目を向ける。
完璧なビジュアル。

厚めのネタ。端っこには私の大好きなガリもたっぷり添えられている。

「なにからいく〜?」

私はホタテから。
はぁ、幸せ。

一番好きな食べ物には上がらないけど、
死ぬ前に食べたいものはお鮨かもしれない。
日本人でよかった〜となるやつ。

納豆ごはんにお味噌汁も捨てがたいけど、
最期はやっぱり豪華に締めくくりたい。

とかどうでもいいことを頭に浮かばせながら
一貫一貫を味わう。

お金のことは一回忘れようとは行ったものの、気になるのは斜め前に見えるレジの様子。

みんな現金で支払っていく。

だよね〜
さっきネットにそう書いてあったもん。

***

美味しくいただきお腹と心は大満足、気持ちはソワソワ...
いざお会計へ。

女将さんはお座敷へお椀を運ぶところで
「ちょっと待ってくださいね〜」

「あの...つかぬことお伺いしますが、カードって使えますか?」

「ごめんなさい、うち現金だけなんですよ」

「そうですよね...!
すみません、実はお財布を忘れてしまって、、すぐに戻ってくるんで後でお支払いでもいいですか、、」

「大丈夫ですよ!こちらこそごめんなさいね〜。じゃあお名前だけ」

とあっさりしたお返事が返ってきた。

想定外のあっさりしたお返事が返ってきて、こちらのほうが焦ってしまう。

「電話番号も言っといた方がいいですよね?!」

「そうね、じゃあ念のため」

伝票に名前と念のための連絡先を記し、レジの横に磁石でバシッと貼りつけた。

「1時間以内には戻ってくるんで!!」

「そんなに急がなくていいのよ〜。
あと1時間もしたら、私忘れているから!!」

“忘れている⁈”そりゃないだろ〜と、思いながらもこちらもつい笑ってしまった。

食い逃げしそうには見えないだろうが、こんなことよくあるのかな?と思わせる程、あっけらかんとした対応にホッとし、店を出る。

一足先に外で出ていた夫が言った。

「女将さん笑ってたね」

「うん、急がなくていいですよ〜だって。
“あと1時間もしたら忘れちゃうわよ”って言ってたよ。現金持っていなくて後で払いにくる人珍しくないのかな?!」

「そうかもね〜」

あーだこーだ話しながら

1時間弱でお店に戻り、再び店内へ。

まだカウンターには私たちと入れ替わりだったお客さんの姿もある。

女将さんと目が合うと、
「戻ってきてもらっちゃってすみませんね〜」

パッと伝票を取りレジを打つ。

「いえいえ、こちらこそすみませんでした」

明るくお支払いを済ませ、一安心。

想定外の出来事もあり、この日は最終目的地の公園まで足が伸びず、少し先に行った駅の周辺を探索して帰宅。

運動兼ねて公園までお散歩のはずが、お財布を忘れお鮨屋さんを2往復する日になりました。

財布を忘れ、自宅とお店を2往復。

この事実だけに着目すると(自分のせいながら)散々な出来事だったけど、ユーモアのある女将さんのおかげでひとつ良い思い出になりました。

今度はしっかりお財布を持って、
早めの時間からつまみとお酒を楽しみたいな。


読んでいただき、ありがとうございました。
少しでも共感いただけたら、♡いただけると日々のパワーと励みになります☺️

kona

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