同人誌即売会サークル参加を再開したいかも、と思った話
今回は『同人誌即売会』にまつわる話です。
私はクリエイター気質ではなく、完全に消費者として生きているのですが、大学時代に何回か即売会にサークル参加したことがあります。
参加イベントは全て『ガタケット』。新潟市で定期的に開催されるオールジャンル即売会です。
頒布物は全て自宅のプリンターで印刷したコピー本。初参加時のみ二次創作漫画、それ以降は小説を頒布していました。ジャンルは創作ファンタジー小説を基本にたまに特殊な二次創作。
しかし社会人になってから……厳密には大学卒業のいくらか前ですかね、めっきりサークル参加はしなくなりました。
ガタケットを始めとした新潟の同人イベントには末永く存続してほしいと思っているので、一般参加は今に至るまで可能な限り続けていますが、サークル参加する気力はすっかり失せたまま十数年経ってしまいました。
……なのですが。
ここにきて久しぶりに「サークル参加したいかも……?」という気持ちが湧いてきました。
何故今更そう思うようになったかという心の動きを公開していきたいと思います。
なお、これまでの同人遍歴に言及するにあたり、二次創作について――それも受け入れ難い人が多くいるだろうと自分でも思っている特殊な二次創作スタイルについての話題も出します。
二次創作、アマチュアの趣味の創作というフィールドについて『個人的に嫌なモノ』の話題を不意に目にするのは嫌だという方にはお勧めできない仕様の記事です。
なので、同人界隈に古から伝わる護符を貼っておきますね。
『何でも許せる方向け』
サークル参加が途絶えた理由――需要、ここに在らず
本題に入るために、まず何故サークル参加をしなくなったかについて振り返っていきます。
結論を最初に言ってしまうと『反応がないから』。
ありがたいことに、元々の友人以外の方に手に取ってもらったことや、そこから良い交流を得た思い出もあります。
初参加時の頒布本はとあるゲームの男女カップリングを題材にした漫画。元々の友人以外にお買い上げくださったのは見知らぬお嬢さんただ一人でしたが、そのお一人の存在にオフラインの喜びとありがたみを教えていただけました。
そして、当時の私的には本命・切り札ともいえる立ち位置だったオリジナルファンタジー小説本(なお、上巻・中巻のみ発行して下巻は永遠の未完成の模様。上中巻はpixivや個人サイトにて公開中!)。こちらはとある殿方が手にとってくれました。それだけでも嬉しいのに、何と! この男性とは『交流』までできたのです。
その方にガタケットの参加方法について質問されたのでお答えしたところ、その方は見事その後のガタケットでサークル参加されたのです。しかも継続的に!
私もその方のご本を買わせていただき、その後もサークル参加されているところを見かけたらお声掛けしました。
作品から始まる出会い、ご縁。これぞオフライン同人の醍醐味。素晴らしい!!!
……と、このように、最初は物理本を作ってオフラインで発表することの喜びを享受できていたのです。
しかし、ガタケットのサークル参加を通しての新たな交流はいずれ得られなくなりました。
サークルスペースに座っていても、やってくるのは元々の友人だけ(来てくれたことはとても嬉しい!)。隣になったサークル様に挨拶と、ちょっとした会話は試みますが、あとは無。買い手としては変わらず楽しみましたが、売り手としては……。誰も私の本に興味を持たない!!!という回が多くありました。
もちろん私の作品クオリティが見るからに低い……という理由はあるはずですが、そもそもとして題材がピンポイントすぎた、というのも理由として大きいと思います。
上記の作品以降、私がガタケに持ち込んだ自作本は『原作キャラが幻影としてしか出てこない上に、原作世界と全く関係ない異世界で展開されるオリキャラオンリー話』『漫画作品Aと、全く無関係な別作品B・C・Dのクロスオーバー短編小説集(AB、AC、ADの組み合わせの独立した話三つなので四作品混合ではない)』。
……流石にこれはクオリティ以前に人を選ぶでしょ!
卑下するような言い方になっていますが、私自身はこれらの作品を作ったことに全く後悔も羞恥心もなく、当時の自分良くやった! と心から思っています。今も心の中でこういった世界観を愛でていますし、何なら度々ツイッターにそういった妄想を漏らしています。
他人から見てどうであろうと、私は私の作った作品が好きです。何故なら私のツボを的確に突いた作品になっているから。
しかし、目に触れる人も限られる地方の同人イベントで一般来場者の関心を惹ける作品だったかというと……それは違うかな、と思います。
当時の私は一般受けとか関係なく、自分が考えて楽しい・読みたい話を本として固形化していっていました。
自己満足上等ではあったとはいえ、無反応がこうも徹底すると……私がサークル参加する意義ってある? と思うようになっていったのです。創作する意義、ではなく。
これら無反応だった二次創作作品群は元々無料配布本だったので、その後ネット上にて公開しました。
オリキャラしかいない二次創作話は、あまり広めなくてもいいかな、興味がある方が覗いてくれれば……と思ったので、アーカイブ的な意味で創作サイト(フォレストページ)とぷらいべったーに置いておきました。
一方、クロスオーバー短編集は天下のpixivにて公開することにしました。ネット上では様々なクロスオーバー小説に出会えます。それらと比べた時、自作もまぁ、そこまでぶっ飛んで煮詰まり切った設定ではない(※主観です)し、人目に広く触れる場所に載せてもいいかな……と思ったためです。
そうしたら……何と何と、非常にありがたいことに、評価・ブクマをいただけたのです! あくまで私の主観からすると『沢山』と表現できるほどでした。作品によっては3桁も!! しかも、この文章を書くために確認しにいったら割と最近つけていただいたブクマもあったんです……公開から13年近く経っているのに!!! 皆様、本当に本当にありがとうございます……。
だいぶ視点となる時間がズレましたが、ここで13年前の世界に戻りますね。
つまり、ガタケ……オフライン即売会ではガン無視された作品も、求める人の目に触れさえすれば歓迎してもらえるという実感を得たんです。
あ、私が書きたくて書いちゃったものに興味を持ってくれる、喜んでくれる人の目に届く可能性が高いのはオンラインなんだ。そう悟りました。
加えて、この時点の私は『ものづくり』に喜びをあんまり感じていませんでした。創作活動全般ではなく、物理的に存在するものを加工して作品を生み出すという意味合いでのものづくり。
コピー本は安価に手早く、まさしく完全DIYで作れる同人誌ですが、ものづくり体験としてのポテンシャルがオフセット本に劣るとは決して言えないと信じています。
装丁などを形や材質から凝ってデコって、こだわりの手作り本を造ることに楽しみを感じる方も多いでしょう。友人にもそういうスタンスの方がいました。
ですが当時の私にとって大事だったのは、あくまで情報を固形化して他人に伝達できるようにすること。本を造ることそのものを楽しむのではなく、オフラインイベントへの参加券を得る行為として義務的に行っている感覚だったのです。
もし私にものづくりを喜び・目的とできる職人心があれば、見向きされない題材でも、物理的な作品とすることに意義がある本を造りたい! という心持ちからサークル参加を続けていたかもしれません。
ですが私の創作欲求、いや承認欲求は、文章作成ソフトに打ち込んだ文章を投稿サイトにコピペすることで満たされてしまった。
物語は空想したいしシェアしたいけど『本』は造る意味合いがないかな。
そんな気持ちになっていたところでめでたく大学卒業からの就職、めでたく一日の時間の大半はお仕事で埋まることに。残業は勤務店舗によってあったりなかったりあったりヤバかったり。
そうしてサークル参加からフェードアウトしていったのでした……。
またサークル参加してみたいと思った理由――この場所で頒布する、という必然性
ここから本題。そんな気持ちで13年が経ったというのに、何故今になってまたサークル参加したいかなと思うようになったのか。
要因は二種類。『反動』と『感化』に行きつきます。
まず『反動』について。実は私は2023年半ば、ケアマネージャーの資格試験(厳密には、資格を取るための研修を受ける資格を得るための試験)に可処分時間を割いていました。
スキルアップのため+当時の上司の後押しがあったからです。
試験自体は挑戦して良かったと本当に思っています。無事合格して、これを書いている時点で合格者向けの研修・課題もあらかた終了しているのですが、参加しなければ一生知ることができなかったであろう業界を、社会を知ることができたから。
でも、それはそれ、これはこれとして。
試験勉強をしている時に(私が人生で本当にやりたいことはここにあるのか?)という類の問いが湧いてきてしまったんです。
生活費を得るための仕事は誠実に続けさせてもらうとして……それ以外の時間で、自分にしか残せないものを作りたくはないか?
ブログ(note)を書きたい。
小説を書きたい。
趣味の文章を書きたい!
そういう思いが自然に湧き出てくる期間となってしまったんです。自分でも少し意外でした。可処分時間があればあったで、動画とかSNSとかエンタメ作品とかに無限に時間を溶かしているだけなのにね。それはpixivとかぷらいべったーとかの、私が作品集積所としているスペースを見れば証明できます。全然増えてない!
だからこそ、自分の本質は消費者だと心得ていたのですが。自分に縛りをかける期間を設けたことで欲求の形が少し変わったのかも。
そして『感化』について。文字通りです。大きな切っ掛けは2023年に一般参加した複数の同人イベントにありました。
ガタケにはこれまでも優先的に一般参加していたのですが、昨年の夏~秋には新潟コミティア、長岡のツクリテイデアなども覗きに行きました。
ここで今まであまり意識していなかった部分に火をつけるような作品群(複数のサークルさん)に出会ったのです。
それは『新潟のイベントで頒布すること』に強い意義を感じさせる作品。言い換えれば『ご当地ネタ』です。
新潟暮らしのエッセイ的作品に限りません。新潟の交通に触れた作品。新潟の民話をモチーフにした作品。新潟競馬を題材にしたウマ娘二次創作。
このポイントにきゅぴんと来たのです。
私の郷土愛が客観的に見て強いものなのかは分かりませんが、私はたまに新潟県民のオリキャラを製造します。特に新潟出身である必要性のない子にその設定をつけたりとか。縁もゆかりもない地をオリキャラの出身地として設定することの方が多くはありますが。
何で意味なく新潟県民設定をつけるかというと、現実とファンタジーが重なってほしいという欲望が根幹にあるためだと思います。ここまでの生涯を全て新潟で過ごしてきた私にとって、新潟は日常のフィールド。いわゆる現代ファンタジー(ローファンタジー)、あるいはパラレルワールドな世界――私の夢見る世界を生きるオリキャラとの接点を出身地を通して作りたい。そして異現実の新潟に思いを馳せたい。
ポケモンが現実の暮らしにいたらいいなぁ……系の空想と同じ属性なんだと思います。
じゃあさぁ……書いちゃえばいいんじゃない? 自分のオリジンに思いっきり接続する、超地元ネタを。それこそが『自分にしか残せないもの』の解の一つなのでは? で、地元ネタ作品をガタケや新潟コミティアで発表すれば……オフラインイベントに物理本を出す意味合いが生まれる。例え見向きもされないとしても、それでもいい、と自分で言い切れる文脈が見出せる。
そういう発想に至って……じゃあ、目指してみるか! となったのですね。
ところで私、これまではコピー本しか出していない訳ですよ。
自分の中で記念となるような本を出したいと思うなら……オフセット本に挑戦するのもアリなんじゃないか? とも思っていたりします。
コピー本だからできるスタイルを追求するのも良き同人体験とは思いますが、一方で同人誌印刷を経験せずに人生を終えるのはもったいないかな、という思いもあるので。会心の一作だけでも。売り物というより記念品、記念体験として。
それと、ここ数日ドール沼の浅瀬に近付いてしまったことで思いついたネタなのですが、ドールさんの写真集とかも良いのでは? とも思っています。写真に解説文なりポエムなりを添える感じで。写真で綴る絵本……と言えれば格好いいけど、今浮かんでいるネタだと物語性はあまりない、ドールさん観察レポート的なノリになりそう。
ドールさんは私の著作物ではないのですが、少なくとも無料で、趣味の範囲なら写真集を出しても大丈夫そう、とちょっと調べた感じでは受け取れたので……やってみたいな、と。
無料ならここはコピー本で装丁をDIYする方向で頑張ってみるか? 新しいコピー機を買ったばかりなのですが、課題レポートとかTRPGのキャラシを印刷できればいいと思っていたので安価なものを選んだんですよね。写真を出力する見込みがあるならもっと良いものにすれば良かったか……。既製品ドールは一次創作ではないからコミティア(一次創作オンリー)は不可なのか?
などなど、机上の空論をこねている段階ではあります。
ですが、何らかの形で今年中にサークル参加できる物品を創り上げたいなと考えています!