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金井たちの夜

金井:ども、こんばんは。
金井:ああ、どうも。寒いね。
金井:冬かなと思うんだけど。まだ秋なのかな。
金井:わからんけど。季節感おかしくなるから。
金井:夏からしておかしかった。
金井:異常ですよ。でも来年は涼しくなるとかいうね。
金井:ほんとかね。
金井:一説にはということで。それで提案なんだけど。
金井:ええ。
金井:いまね、これはどっちがしゃべってるかわからん。区別をしよう。
金井:そうしよう。

金井A:これでよろしいかね。
金井B:結構。
金井A:最近どうなのよ。
金井B:読書だね。コツコツやってるよ、我ながらえらいもんで。
金井A:メチャクチャ買ってたからな。サブデスクの上とかすげえじゃん。
金井B:いまはただ地震が怖い。
金井A:崩れる?
金井B:崩れるね。そんで本だけが積んであるわけじゃないでしょう。
金井A:これはまあ、CDがね。何本ものタワーレコード状態であると。
金井B:誰が聴くんだろうなってくらいあるから。
金井A:いや、それは我々で聴きましょうよ。何年もかけて、何百枚でも。
金井B:しかしまあ、やはり地震が怖い。
金井A:崩れる?
金井B:崩れるね。泣きながら片づけてる自分が見えるよ。

金井A:なんか妙に疲れることとかがね、あるんだけども。
金井B:それは大変だ。ゆっくり休んだらいいよ。
金井A:休んで解決するならいいんだよ。
金井B:悩みでもあんの?
金井A:いや、ダメージだね。損傷がある。
金井B:そうやって心が傷つくことってあるじゃん。
金井A:ええ。
金井B:神経細胞に物理的に傷がついてんだってよ。
金井A:怖いな。そんなんやがて病むじゃん。
金井B:病むんだよ。繊細さんとかかわいくいってるけど、あれ深刻だからな。
金井A:人々、生きづらいもんだ。俺だけじゃないな。
金井B:君は繊細さんではないんだけどね。
金井A:いやいや、繊細だよ。手相占いでいわれたよ、繊細って。
金井B:外れてんじゃねえの、その占い。

金井A:社会問題とかには興味ないの?
金井B:ないね。意見もない。全部どうにもならんよ。諦めてる。
金井A:そのわりに政治学の本はいっぱい持ってると。
金井B:買うときは読みたくて買うんだけどね。積んでるね。
金井A:興味はうつろうからねえ。
金井B:いまはケアが熱い。
金井A:ケアの倫理。
金井B:や、そういうとややこしいから、ケアそのもの。小説がよくなるかと。
金井A:癒しの小説になるんだろうな。
金井B:もうね、ホイミですよ。ケアルですよ。
金井A:すげえじゃん。人様の役に立つね。
金井B:うまくやればね。
金井A:がんばりましょう。
金井B:おう、がんばりましょう。

金井A:さて、夜も更けてきましたけど。
金井B:更けるどころか3時近いよ。真夜中だよ。みんな寝てるよ。
金井A:我々は気楽なもんですな。
金井B:作業のタイミングが自由だからね。いいよね。
金井A:とうとうサラリーマンにはなれなかった。
金井B:向いてないからね。適性ゼロだよ。
金井A:ロックを歌いたい立場だ。
金井B:どんな?
金井A:みーんなーとおーんなーじたーのしーじーんせいー。
金井B:誰の歌?
金井A:いや、昔のエレカシ。ミヤジ。
金井B:へえ。
金井A:反逆の精神こそがロックでありますから。
金井B:それでいうと、ゲリラ戦っていうテーマがあるじゃない、我々に。
金井A:ああ、いつだったか考えたね。
金井B:そういうのロックだよね。カウンターカルチャーというの?
金井A:上の階級をぶん殴ってぶん取りに行くスタイルというか。
金井B;うん。ロックンローラはすべてを欲しがるってね。

(おしまい)

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金井枢鳴 (カナイスウメイ)
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