一家で帰国、そして新たな道へ

帰国、そして大組織の経験

中国・上海からまるで徴兵から戻ってきたかのような感覚で成田空港に降り立つと、2日後に日本のA社から内定の連絡が届く。その直後、中国現地での後任者がわずか2日で逃亡したと聞かされるがすでに帰国してしまっているし父親の件もあるので退職申し上げることとした。

帰国後、A社からのオファー面談に進むが、最終的に同系列のS社に入社することが決まる。少し釈然としないスタートを切るものの、新たな環境での挑戦を開始した。


そして入社したわけだが、どうやら聞くと同時期に4名をキャリアで採用したらしい。
1名既に先行して入社された人がいた。なんかポツンとして暇そうにみえ、大丈夫なのかなと思いつつ取り敢えず2日目、今回のミッションでもある改善すべき事業であるカフェ、オフィスコンビニ、野菜工場事業改善についてのアウトプットの機会があったので同席させていただく。
K社長の事前レビューを経た資料にのっとり説明を同僚であるC氏が行ったところ、A社幹部のD氏がばっさり「要するに一生懸命頑張りますってことしか書いてない、話にならんな」と一蹴(汗)そして社長のK氏、「そうなのよ、ダメね」(あなたがレビューしてあなたの言う通り修正してあなたがOKだした資料ですけどw)。華麗な梯子外しを決めたのであった。
これは要注意人物だなと思いつつ、現場の部長に話を聴きながら事業体実施場所への訪問。
翌月入社する人物が飲食系についてはかなりお詳しいということで、そうなると最もマイナスの大きい野菜工場が必然的にやるべきミッションとなる。
部長や社長のK氏いわく、おいしいから売れるんだと。営業が悪いと。部長T氏は営業は相当行ったが高すぎて売れない、やるべきことはやっているということであった。
いかんせん2つの工場の内片方の工場の売上が2万円そこそこ(投資額2億弱)ではさすがに死活問題。早急に生産性分析、営業戦略を考え実行する必要性があった。
同時に現場に赴き実際の作業を体験し、知的障害を持つ社員さんとも一緒にラジオ体操をしつつ、現場管理者の話も伺いながらどのような手を打てるか検討に入った。

-稼働率100%で黒字にならない現実-
作物の生育速度、提供単価、ロス率、諸々計算したところどうやっても黒字にならない事実が発覚。なぜこの事業をやると意思決定したのかから疑問がわき、色々サーチしているとどうやら様々な力学が働いていると察知した。
これは経営責任だが、肝心の経営が責任を取っていない。
現社長の就任経緯など情報をとっていき分かったことは、社内政治的に上がっていること、アイコン的であること、本人の自意識が高いことがわかり、これは短命で終わるなと察知した。

-営業先は青果市場関係者だけしか行っていない-
この事実を聞いたときに、直感的に「流通を分かっていない」とすぐ感じた。
価格でしかものをみない人たちにいくら営業したところで売れるわけがない。それなりに品質に自信があるのなら直接ユーザに近い外食、SCバイヤーに販売にしに行くべきだ。
大田市場卸売り単価はレタスで平均800円。当社販売価格は1700円以上が最低ライン。
これはどう考えても売れない。
栽培する野菜のラインナップも含めシミュレーションを行い、ハーブとレタスの栽培を同時に行うことしかないと判断した。

-たった一人で顧客アプローチ開始-
いくら楽天といえども全く知見の無い領域で一から顧客アプローチ、しかも負け筋の事業で担当部の協力もなく、同僚も営業が得意そうではない。誰のリソースも借りれないと判断、一人でリストアップ、営業アプローチを開始した。

-ストーリーが大事-
いきなり野菜作ってます、話聞いてくれなどという理屈が通るわけもない。そこで、
・著名企業で工場野菜を作っていること
・障害者雇用で行っていること
・都市型農業で地産地消、安定生産していること(気候変動での価格変動もない)
・同じ野菜で価格合うなら導入した場合、栽培当事者とその親御さん周辺の人も導入先店舗に来る可能性が高い(自分たちの成果物だから)。
・最終的に小さな商圏が生まれる可能性、会社のブランド価値向上
そういった面をサクッと説明しモノをもって説明に上がりたい旨を伝えた
結果として、すかいらーく、ゼンショー、ポポラマーマ、某ベンダーなどへのアポイント獲得に成功した。
同時に地域の事業者さんへの接点もテレアポを通じて商談に伺った地域の給食事業者さんの紹介で大田区議と地域事業者の集まりで出会ったバル経営者さんの店舗に導入が決まった。そちらは羽田ビールというブランドで酒類の販売も増やしブルワリーを羽田空港近くで出店するそうで、一緒に羽田野菜としてブランド化しないかという話までいただいた。

-忘年会にて前社長かつ創業メンバーの重鎮に突撃-
そうなったら話は早い。この機を逃さずに役員席に飛び込み野菜のアピールとここまでの取り組みを簡単に説明。その場でキーマンに連絡頂き商談セットをすることができた。
その辺は意思決定権者であることが重要である(人事権以外何の権限も持たない社長では無理)と改めて認識したのであった。

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