外国人介護人材活躍のフィールド ~技能実習と特定技能 その背景~
こんにちは。オフィス謝府礼の阿部です。
私が監事を務めている監理団体(外国人技能実習生・特定技能人材の受入れとサポートをする団体のこと)でも、外国人材に関する問合せでとくに介護分野が増えてきているようです。
外国人材の受入れは、建設業や製造業、また農業や漁業などですでに先行していました。介護分野や遅れてやってきた制度といえます。
こうした事情に加え、受入れに伴う準備や資金面といったことから、介護分野での受入れがスタートしても先行するのは規模の大きな社会福祉法人や医療法人といったところが先行するばかりで、単独法人などでは制度自体もまだ広く認知されていない印象があります。
▼外国人材「介護」の受入れはうちの事業所でもできる?
こんな疑問も多いのではないでしょうか。
特別養護老人ホームは受入れ〇、住宅型有料老人ホームは受入れ✕…。
こんな風に、受け入れようとする事業の実態に応じて可否はありますが、性格的なものとして「訪問系事業と知的障害系事業は外国人材の受入れ対象外」という大枠を理解しておけば良いと思います。
(技能実習生/特定技能「介護」人材を受け入れられる対象施設)
そもそも、外国人技能実習制度の性格は「日本の技能・技術・知識を途上国へ移転させ、経済発展を担う人づくりに寄与すること」を目的としています。表面的に労働者ではあっても、その本質は「国の発展に寄与するために日本に技能・技術を学びに来ている人たち」という建前があります。
一方の特定技能は正確はやや異なり、「就労を目的」とした在留資格の一つであることが大きなポイントになっています。この場合は就労目的であるため、本質的にも労働者と捉えて問題ありません。
とはいえ、訪問介護のように一人で利用者宅を訪問するというのが当人にとってもいかに大変であるか、また仮に2人1組でいくとしても介護はその行為に対する報酬が国により決められているため、このようなやり方では経営的に安定しないことが理解できます。
このように制度の性格と行われる事業の性格。両者を合わせるとある程度受入れ対象施設の範囲がみえてくるのではないでしょうか。
▼制度視点の限界 求められる柔軟性
制度の背景からある程度受入れ対象施設の範囲が理解できるとして、住宅型有料老人ホームが対象外ということに制度視点の限界を感じます。
住宅型有料老人ホーム(以下、住宅型有老)は要介護認定を受けいていない人でも入居できる施設であり、住宅型有老自体が介護サービスを行うことはありません。そのため、住宅型有老は別に訪問介護事業事務所を自らの施設内に設け、施設内事務所を起点として施設に住む高齢者に訪問介護を提供するといった、複雑な動きをとることが通常です。
実態としては施設内に訪問介護事業所があるのだから、「施設内入居者に訪問介護サービスを提供する場合に限り外国人材であっても認める」…といったことができれば良いのですが、そもそもが複雑な動きとなっているため、行政側の管理の目が行き届かないことを懸念しての、対象外施設になっているのだと認識しています。
しかし、住宅型有老は特別養護老人ホームの待機解消といった役割を果たすなかで増えてきた施設であり、人材不足に悩んでいる状況が同じことに変りはありません。
柔軟的な制度運用が認められることを期待せずにはいられません。