経営の軸が揺らいだ瞬間、組織はどうなるのか?
切羽詰まった状況を突破するための判断
「背に腹は変えられない」ということわざがあります。「切羽詰まった状況を突破するために、仕方なく物事を選択をする」という意味です。まあ、実際にそういう場面が何度かあったので、これは実感があります。
ほとんどはお金が絡んだときであり、そのときの判断は短期思考です。「一時的だし、大事にしてきたことが揺らぐわけはない」といいながら、さらに厳しい状態に追い込まれると、次第に経営の軸がぶれてきます。
信頼を揺るがす一時的な判断の先にあるもの
売上や利益が欲しくなったり、資金繰りが苦しくなったりすると、これまでやらなかったようなことにも手を出したくなります。一時的には業績が伸びるかもしれませんが、失うものの大きさは後にならなければわかりません。
短期的な思考ではこの感覚が麻痺していきます。何とかなると思うのです。積み上げてきた信頼が一気に崩れることもあります。これまで支えてくれたお客さまや社員が去ってから後悔しても遅いのです。
経営の原理原則は「ミッション」です
では、ぶれないためにはどうしたらいいのでしょうか。極めて当たり前ですが、それは原理原則に基づいて経営を進めることです。国に憲法があるように、経営の原理原則は「ミッション」です。
経営理念、パーパス、志し・・いい方はどうであれ、これが経営の判断基準です。また、顧客から選ばれる理由であり、何としても譲れないことです。ここに立ち返って、物事を判断し、意思決定する必要があります。
WhatやHowは変えてもWhyは譲らない
もちろん、過去のやり方にしがみついてはダメです。対策や方法は状況に合わせて、どんどん変えたらいいのです。変化のスピードの速いいま、過去の成功の方程式がいまでも通用する保証はどこにもありません。
それでも経営の軸は何としてもぶらさないことです。言い方を変えれば、WhatやHowは状況に合わせて大胆に変えても、Whyは頑として譲らない。ここは経営者の覚悟次第ですね。踏ん張りどころなのです。
経営者の覚悟が試される状況とは?
しかし、経営者も人ですから、ぶれることもあります。その場合でも、振り子のようにできるだけ中心点を同じにして動くことです。どんなに大きく触れても中心点は通過するイメージです。
経営者の仕事は、経営の軸であるミッションを社員に語り続けることに尽きます。社長は本気だと社員が思ったときに経営の軸は共有され始めます。当事者意識が生まれ、組織は主体的、自律的に動き出します。