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10月30日 要するに培養なのね。(だからぁ、そう言ったじゃないの)覚書的考察I

 一週間前に目まぐるしい進歩を遂げたサワードウの種ちゃんは、セオリー通り三巡目の二日目になって、突如進歩をやめた。まるで焼き忘れたホットケーキのたねのように表面を干からびかせダークに翳っている。そう見えて時間通りの小麦粉と水を与えかき混ぜるためのテーブルナイフを差し入れると、全然干からびることなく、異臭も発していない。

 なぜ三日目に3分の2を捨てるのか。検索して出てきたどのレシピも大概同じ。量が増えて管理しきれないから、というのが一応の答えなのだけど、せっかくバクテリアが増えたドウは勿体無い。捨てドウで作るマフィンは実は水分を持っていかれる。これは発酵によってグルテンが分解されるためだ。小麦が最近忌避されるのはこのグルテンが体内で粘着質を発揮し、サラサラな体内の全ての循環を阻害すると考えられているからで、その対策として食品にする前の段階でグルテンを好物とする菌に食べさせ分解してからパンなど製品にしようという考えだ。
 それで、捨てるはずのドウを別の瓶で培養することにした。通常レシピでは3分の1を残して捨てるわけだから理論上では、3つの2ndジェネレーションのサワードウのベビーができるわけだ。

 出だしでお話したベビーは、ゼロから始めて初めて3分の1残して培養し膨らんだものを上記の方法で3分の1を二つ残したうちの一つのこと。つまり、3年生と2年生がいる状態です。これにそれぞれフィードを続けた。これで見えたことは、タイトルにある「要するに培養なのね」ということ。コロナ期に流行った納豆培養のようにもともと発酵して糸を引いている納豆菌たっぷりのそれを茹で大豆に混ぜ培養するのとは違って、バクテリアを集めるところから始めなければならない。
 一巡目、二巡目というのは、つまり一巡目にたとえば100集まった菌を200〜300に増やすということ。増えたドウを今度はベースにして、新たにおうちを作ってやり菌を倍増させる、という仕組みなのだと、わかった。
 そしてね、膨らんだと言っても実際は子供を産んだりするわけじゃないから、膨らむのは発酵・分解作用によって気体が発生し、粘着質な生地を持ち上げるために増量したように見える。

 ここまでがわかって、さらになるほどと理解したのは、なぜ古いドウは捨てるのかという点。
 偶然かも、あるいは、今の平均20°前後の温度と湿度のせいか、わからないけど古いドウは乾燥しやすい。急に温度が下がり始めた先週末から膨らまなくなった。通常菌の呼吸を妨げないため密閉はしない。毎日水を与えるが蒸発は避けられない。とくの最近は季節の変わり目で湿度はぐんと下がった。乾燥し、粘土が高くなると発酵した空気が生地を押し上げる力はより必要。また全体の水分が少なくなれば発酵は遅くなる。異臭はしないので傷んでいないのは確かでも、古いドウの下部にあるのは分解されたグルテンばかり。元気な菌には不必要なわけです。
 また、層があつく深くなれば、空気に触れる面積は限られる。発酵できるのは表面と上部の浅い層にだけに限られるから。(口の広い容器で培養してみれば実証できる?)

 菌が発生させた気体がドウを押し上げるというのを確かめる。少しばかり元気になってきたドウにフィードし(そう、一週間やり続けてやっと元気を取り戻したのでした)、しっかり撹拌した。下がその写真。


 グリーンのゴムバンドの位置は変わらないので最初の写真と比較するとフィード前より表面の位置は低く、フィード分だけが増量しているとがわかる。

 闇雲に始めたスターター制作だが、少しこのアイボリーのスライムの中にいる微小なひとたちのことがみえてきた。次のテーマは、古い子たちのベストなリユース法、でしょうねぇ。



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