どうなってるんだ日本!
母子家庭で苦労して大学を出た20歳過ぎの女の子が就職して、大学時代の奨学金の返済が始まる時期に友人のSNSで投資話に誘われ、闇金から150万円を借りて投資した。これは経済知識の乏しい若者を騙す詐欺。150万円の返済ができずに自殺した20代の女性の母親の訴えをFacebookで読んだ。
正社員ですら賃金は上がらない時代である。OECD加盟国の中で日本の賃金は平均以下で国民は苦しんでいる。そんな世情の中、ブランドバックを換金するテレビ番組を見てショックだった。100万円、200万円、300万円するバッグが次々と質屋に持ち込まれる。それらのバッグはほとんど使われていない。購入金額以上で引き取られていった。つまり、200万のバッグを230万で買取っても、品薄のレアな商品だから買い手が現れるらしい。不景気の日本には簡単に大金を出す客が大量に存在している。ブランド品を持ち込む客の愚かしい態度を見ていたら気分が悪くなった。
何に腹が立つのか考えてみた。人間社会であるから格差が生まれるのは当然で、金が貯まれば自分のステータスを表現するために高級車や高級時計、豪邸、宝石等を求める。何百万もするハンドバックも同じだから責めるつもりはない。
高校へほぼ全員が進学するが、進学先によって格差が生まれるから中学生相手の塾が繁盛する。裏返せば学校だけの指導では生徒の能力を引き出せず、塾の力を借りて学習を成立させていると言える。高校受験ばかりではない。教員等の公務員試験でも弁護士や医師であっても採用試験の合格を請け負う専門学校や塾に通えば合格する確率が高くなる。学校で得た知識だけでは望みの就職が難しい。普通の能力さえあれば親の経済力で学歴は買える時代になった。並みの能力しかない二世政治家等が多くなるのは自由主義経済であれば致し方ない。
スティーブジョブズのように親の経済力がなくても能力を発揮する優秀な人物もいる。しかし、彼はアメリ人だし随分以前の話になる。日本で問題なのは、貧しい親の経済力によって能力や精励や誠実さを持ちながら、若者が這い上がることのできない現代社会にある。努力したらそれなりの成果が勝ち取れる国であってほしい。戦後77年の平和な時代を過ぎて、努力の報われない階層が生まれている。政府自民党はブランドバックの買える支持者の方ばかりをみている。国防を叫ぶ前に,這い上がることのできない層を減らす対策をお願いしたい。
それは返済する必要のない奨学金であり学費の免除だが、何百万もするハンドバックが買えるほどの家庭に必要がないのは当然である。また、消費税は弱者を苦しめて強者を優遇するから、より厳格な累進による課税が必要だと思う。けれども自民党支持者ばかりではなく、増税は多くの国民が反対するから実現はできない。ブランドのハンドバッグの買える階層は既得権を手放さないように子弟の教育に金をかける。どこまで行っても八方塞がりだから、今後も這い上がることのできない貧困層が増え、社会が不安定化して行く。それなのに政府は有効な政策を打たない。だから、テレビを見ていて気分が悪くなった。