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ICT支援員業務日誌「ルーレットと蜂の巣」

 前回の授業は「興奮の坩堝」でしたが、今回は「蜂の巣をつついて」しまいました。以下はその顛末です。

 ICT支援員が授業を頼まれることがあります。元教師だから如何(どう)ということはないですが、相手は2週間前にロイロノートの使い方を指導したとはいえ、72年の人生で2回目の小学1年生が相手です。
 担任からの要請は次のようなものでした。
「日本語かなキーボードが使えるようにして欲しい。」
授業を設計する段階で「しりとり」ゲームが思い浮かびました。
[1人の教師 ✖️ 25名の1年生]
これでは秩序が保てません。そこで考えたのが教師の相手をルーレットで決めることでした。
 放課に教室で準備をしました。WEBルーレットを電子黒板に表示すると児童が寄って来て色々言ってくれます。
「何っ?」
「あっ。僕の名前がある。」
だまっている訳にはいかず答えます。
「授業が始まったら、私と【しりとり】をしよう。」

 授業が始まります。予告通り、私はWEBルーレットで当たった児童と「しりとり」をして、児童から出た言葉を「かなキーボード」を使って入力します。その様子を電子黒板の画面で児童に見せます。前回の授業と同様に興奮の坩堝となった状態で5回戦まで続けましたが、【しりとり】の終了を許してもらえません。
「あと3回」
こう言って納得させてもらいました。続いて、
「タブレットを開いて、カバーを畳んで、パスコードを入力して、ロイロノートを起動したら、ここでストップして、全員ができるのを待っててください。」
しばらくしてから説明を続けました。
「それでは、次に、ロイロノートで好きな色のカードを出してタップしてから、上の【あ】をタップするとキーボードが表れます。もし、ローマ字のキーボードだったら【地球】のマークをタップすると【日本語】のキーボードに変わります。最初は全員、港小学校の「みなと」と打って、「ー」を続けて、トマトなど「と」の付く言葉を考えて入力して下さい。その後も同じように続けて下さい。」
こう説明して、
「さあ、始めましょう。」

ここまでは、ほぼ考えた通りの授業でした。ところが、急に騒がしくなって次から次に席を離れて私の元に児童がやってきます。
「出てこない!」
「できない!」
「出ない!」
口々にこんな不満を言い立てます。次から次に来て、教室が蜂の巣をつついたようになってしまいました。一番前に座っている児童のタブレットを調べて、大変な間違いをしていることに気が付きました。
「なんと、【日本語かな入力キーボード】がセットされていません。」
【かな入力】を指導するのに【かなキーボード】がセットされていなければ、1年生が【蜂】になるのも当然です。
 この時間、担任は出張で不在。補欠の先生が補助でついているだけの状態でした。進退窮まった、絶体絶命の状態でした。救いは相手が小学1年生で私を非難する能力までは持ち合わせていないことでした。
「仕方ない」
いくら考えてもどうにもなりません。1台ずつ児童のタブレットに【かなキーボード】をセットする以外に方法はありません。

キーボード設定画面で【キーボード】をタップ、【キーボードの追加】、【日本語】、【かな】にチェックを入れ、日本語入力画面に戻る。

この作業をひたすら繰り返しました。必死でセットしました。補欠の先生にも頼みました。8人目を直して、9人目の時、2度、3度、セットを試みましたができません。どうやら再起動が必要らしいと思われました。ただし、再起動したから直るとは限りません。仕方なく、この子のタブレットは後回しにすることに決めました。
「悪いけど、君のは上手くセット出来ないから、ちょっと待っててね。」
私の提案は素直な女の子に助けられました。
 72歳のICT支援員は15分ほどで25名全員の【かなキーボード】をセットして、セットできなかった女の子のタブレットも強制終了・再起動して全員に【かなキーボード】をセットし終わりました。
 その後の授業でもトラブルはありましたが、何とか終了・片づけまで漕ぎつけることが出来ました。

小学1年生にタブレットで文字入力の必要性は有りや無しや?
また、小学1年生にタブレットは必要だろうか?

多分、こんな難しい問題はICT支援員の考える必要はないのでしょう。
来週も小学に【eライブラリ】の使い方を説明することになってます。
来週の悪戦苦闘の様子も期待してください。

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