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「混血児リカ」WEB公開終了間近

2012年4月よりWEBで無料公開を開始した凡天太郎の代表作「混血児リカ」が2022年3月31日で公開終了となります。

いいタイミングなので、この「混血児リカ」WEB公開に至る経緯を書き留めておきます。

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凡天太郎「不良少女伝 混血児リカ」(集英社「週刊明星」連載:1969年4月21日号~1973年11月4日号〔全214回〕)
敗戦国として連合国の占領下にあった日本。進駐軍と日本人女性の間に望まれない形で出生した少女リカが、世間から「呪われた子」と蔑まれ成長する過程で独自の倫理観をもったアウトローとして自我を確立していくアクション劇画。


私が「混血児リカ」の存在を知ったのは1997年。太田出版から発行された宇田川岳夫著『マンガゾンビ』がきっかけです。

当時の私はまだ20歳前後で、マンガ蒐集から単行本になっていない作品の中から面白い作品を発掘することへと趣味がシフトした時期でした。

その中から自分の好きな作品を自費出版してみたいと思っていて、混血児というワードが大々的にフィーチャーされたタイトルからして商業出版に期待できない「リカ」は常に第一候補。

しかし……、

・国会図書館など国内の所蔵機関を駆使しても全話揃わないこと

・全話で2000ページを超えるため紙の本ではリスクが高すぎること

という2つの大きなハードルがありました。

それでも権利者に許諾をいただけるのならライフワークとして進めてみようかと思い、2010年頃に実話ナックルズ編集部経由で梵天太郎事務所にコンタクトをとります。

そして初対面で梵天事務所の統括である加藤弘氏に「混血児リカの単行本を作らせてほしい」とお願いしました。

国会図書館など国内の所蔵機関を駆使しても全話揃わないことを伝えると、

「奥さんが切り抜きを全話ファイリングしているから、原版は揃ってるよ。」という返事。

さらに、

「とにかくもう一度梵天太郎を世に広めたい」

「そのためなら何をしてもいい」

「その代わり最後まで責任をもってやってくれ」

と言われ、本づくり未経験かつ資金ゼロでしたが情報リソースは際限なく使えることに可能性を感じて自主レーベルをスタートさせることにしました。

これが凡天劇画会のはじまりです。

私自身はどうやって「リカ」を単行本化するかを最終目標とするつもりでしたが、そのチャンスは意外と早く来ました。

2011年。マンガ家の赤松健氏が運営する電子書籍配信プラットフォーム"Jコミ"が本格的に始動したのです。

"Jコミ"は現在「混血児リカ」を公開している"マンガ図書館Z"は開始当初の名前。

"Jコミ"はマンガを公開することで広告収入が入ることをメリットとして謳い、死蔵している原稿の活用をWEB上で呼びかけていました。

私にとって何よりも魅力的だったのが"Jコミ"の掲げるもう2つのメリット「作家の望む形で公開」「なるべく当時のままで公開」の部分です。

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混血児リカ公開直前の赤松氏のtwitterより

梵天太郎事務所が持つ膨大なリソースを調査していくと連載作品を1とカウントしても、短編~長編合わせて200作以上の作品が存在することがわかりました。貸本以前を除けば、そのすべてが単行本化されていません。メジャー誌で約4年連載した「混血児リカ」ですら、実写映画公開時に脚本に沿うように本編を編集された増刊号が2冊発売された程度です。

梵天事務所のリソースを活用するには凡天太郎作品の入り口となるような作品をプロモーションとして無料公開し、そこからマニアックな企画にも興味を持ってくれるような流れを作る必要があると考えていました。

そして電子ならページ数の制約はありませんし、内容の過激さという部分で"Jコミ"の掲げる方針を最大限に活かすことができる作品でもあったことから、「混血児リカ」を無料公開することを加藤氏に相談しました。

加藤氏は代表作である「混血児リカ」をプロモーションとして無料配信することに快く了承してくれ、

赤松氏もすぐに興味をもっていただけたようで、立ち上げ当初の勢いにも後押しされ、公開に向けて迅速に手厚く対応していただきました。

2012年4月。赤松氏の手腕によって、現代の社会的な規範にそぐわない描写の多い「リカ」を改変や修正なく連載そのままの状態で公開することは実現しました。

https://kenakamatsu.hatenablog.com/entry/20120426/p1

さらに一度もソフト化もされていない封印作品という扱いだった実写版『混血児リカ』三作も2015年頃にAmazonプライムでの配信がスタート。

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ブレイクスルーとなったのがJコミでの公開であることは間違いありません。

『混血児リカ』は2022年3月31日をもってWEB公開終了となります。

今後の予定も決まっていません。この先「混血児リカ」が全話読める状況はもうこないかもしれません。気になる方は今のうちに!

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WEB公開終了メモリアルクッション 4月4日まで受付中!

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