新しい年
「境界のない世界がやってくる」先生がしばしば語る言葉だ。新聞が普及し、ラジオやテレビが茶の間にやってきて、インターネットが登場した。メディアの発達の歴史は、地理的境界の破壊そのものだ。
グローバル化がキーワードかと思った2010年代後半。どこかの国の大統領は隣国との国境に壁を造ると言い、他方では「ブレグジット」が話題になった。どうもメディアの歴史からは逆行しているようである。「境界のない世界」に向かう副作用のようなものか。
来たる2020年。オリンピックがやってくる。自国の選手をひいき目に見てしまうのは世の常だろうか。ならば国境も民族も、境界のない世界は、どうなる。
境界のない世界のオリンピック。選手の心・技・体だけに注目が集まり、国ぐるみでドーピングすることもないだろう。紅組と白組で紅白戦なんていうのも面白いかもしれない。
おっと、つい境界線を引いてしまった。
この年を境に、「副作用」への処方箋がどうか導けますように。
「新しい年」でコラムを書けという課題が出たので一筆。