【読書感想文】僕は、そうは、思いません。
基本的に書店で本を買うきっかけは「表紙」で決めている。
今回の本も所謂「ジャケ買い」というものだ。
是非、1冊を一気に読んでもらいたい。
『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎さん著)
※齢25歳の感想ですので悪しからず。
小学生は発想が柔軟だ。
大人にはない視点で、物事を捉える。
大胆不敵であり、賢明である。
短編5つの構成であるが、全ての物語が点であり線となっている。
小学生が主人公で中には歳を重ねた姿まで描写されているお話もある。
所謂主人公と呼ばれる小学生は世間一般で言う「普通」の小学生であるが、
その主人公を取り巻く同級生の1人は賢明なのだ。
物事を平面ではなく、立体で捉えている。
そして、その立体で捉えた考えを周りの誰かのために使う。
きっと学年に1人はいただろう。
自分の思ったようにターゲットを動かせる小学生が。
「僕は、そうは、思いません」は最初の短編に出てくる台詞だ。
担任の先生が固定概念をもって生徒と接している。
きっと実際の教育現場でも起こりうることだろう。
教育現場だけではない、会社、何かの団体でも。
決めつけられた固定概念を覆すために主人公と同級生が作戦を決行する。
周りからの印象はそのうち、自分をも侵食する。
本当はそうではないのに。
実際に起こした行動が直ぐに実を結ぶことは多くはない。
どれだけ回り道をしても最後まで自分の味方は自分しかいない。
そして自分を否定してくる声には高らかに宣言すればいい。
前述したが、このお話には年月が経過した姿が描かれている。
歳を重ねても小学生時代の友が隣にいる人はどのくらいいるのだろう。
個人的な話で恐縮だが、私はいない。
中学で部活動が同じで今も連絡を取り合う友はいるが、
小学校の同級生となるとあまりいないのではないだろうか。
少し、羨ましくなった。
今と昔では小学校の情勢も変わってきている。
だが、今回の話はいつの時代も変わらない「小学生」という人種を
中心に据えて何気ない日常の一コマを切り取っている。
~あとがき~
読みながら「自分の小学生時代って何してたっけ?」と思わず懐古した。
他人の小学生時代を覗き見している気分。
最後まで読み終わった時にもう一度最初から読みたくなる。
ふと、あの頃の自分に会いたくなった。
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