マガジンのカバー画像

創作

12
オチのない自作の創作をまとめています。シロクマ文芸部参加作品など。
運営しているクリエイター

#シロクマ文芸部

【創作】雨の音と別れの歌 #シロクマ文芸部

 雨を聴く歌は多いけど、私が思い出すのは稲垣潤一の『バチェラー・ガール』だ。JASLACが怖い…

海人
8か月前
44

【創作】赤い傘と別れの季節 #シロクマ文芸部

 赤い傘を買った。確か、ヴィクトリアン風の淑女が描かれた傘だった。青やベージュの地味な傘…

海人
8か月前
46

【創作】白い靴の娘 #シロクマ文芸部

 白い靴を脱ぎ捨てて、本宮朱莉はそれを男に投げた。 「ストーカー、どっか行け」  靴は男…

海人
9か月前
44

【創作】ある日のテネシー・ワルツ #シロクマ文芸部

 風薫る五月と思える日は、最近の東京にはあまりない。春が終わるとすぐ、湿気混じりの蒸し暑…

海人
9か月前
39

【創作】Last of Tanu #シロクマ文芸部

「子どもの日には、どこの柏餅を食べるの?」  居間のソファーに座った、たぬが訊く。たぬっ…

海人
9か月前
53

【創作】四月は残酷な月 #シロクマ文芸部

 酔っ払って、バイト先の雑記帳にこんな文章を書き散らした。その後、下宿に戻り莫迦なことを…

海人
10か月前
50

理想の異性 #シロクマ文芸部

「風車の弥七って誰?」  学生食堂で鶴野さんと同じテーブルになった時、そう訊ねてみた。鶴野さんとは、語学のクラスが一緒だった。週五時間だけのクラスだけど、顔合わせの食事会をやったり、名簿を作ったりで、クラスメイトの顔と名前はほぼ一致していた。  クラス名簿には、名前や電話番号以外にもいくつか記入欄があった。「理想の異性は?」という欄があったのを覚えているのは、鶴野さんのおかげだ。「風車の弥七」という文字が今も脳裏に焼き付いている。他の子が何と書いたかは全く記憶にないのに。

突然消えた剛ではなく、フレディやほんの少しカールスモーキーのこと #シロクマ文芸…

 変わる時がある。誰にでも。  私の場合は高二の六月だった。突然、剛が消えた。    剛は…

海人
10か月前
70