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創作

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オチのない自作の創作をまとめています。シロクマ文芸部参加作品など。
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記事一覧

時の終わり 【創作】

 スマホから『時の終わりのための四重奏曲』が流れる。数年前、佳生と出かけた旅行中にふと立…

海人
1日前
36

俺のサイゼ

 かみさんがサイゼ文学賞とやらに参加したという。サイゼの食事券でも配る賞かと思ったら、そ…

海人
2週間前
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【創作】雨の音と別れの歌 #シロクマ文芸部

 雨を聴く歌は多いけど、私が思い出すのは稲垣潤一の『バチェラー・ガール』だ。JASLACが怖い…

海人
8か月前
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【創作】赤い傘と別れの季節 #シロクマ文芸部

 赤い傘を買った。確か、ヴィクトリアン風の淑女が描かれた傘だった。青やベージュの地味な傘…

海人
8か月前
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【創作】たぬ王子ときのこ #きのこ文学

「『泉鏡花きのこ文学集成』だって」  SNSで見つけた本の題名をつぶやくと、 「きのこ文…

海人
8か月前
38

【創作】白い靴の娘 #シロクマ文芸部

 白い靴を脱ぎ捨てて、本宮朱莉はそれを男に投げた。 「ストーカー、どっか行け」  靴は男…

海人
9か月前
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【創作】ある日のテネシー・ワルツ #シロクマ文芸部

 風薫る五月と思える日は、最近の東京にはあまりない。春が終わるとすぐ、湿気混じりの蒸し暑い五月になってしまう。だけど、今夜は、爽やかな風が吹き、どこかで花咲く藤の香りさえ漂う気がする。  そんな心地良さに誘われて、アークヒルズで食事をした後、永田町まで歩くことにした。その途中、山王坂を過ぎたあたりで、初老の男性とすれ違った。ほろ酔い加減なのか、男性は英語の歌を低くハミングするように口ずさんでいた。 「さっきの曲、知ってる?」    しばらくして、娘の朱莉が訊ねた。曲名を知り

【創作】Last of Tanu #シロクマ文芸部

「子どもの日には、どこの柏餅を食べるの?」  居間のソファーに座った、たぬが訊く。たぬっ…

海人
9か月前
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【創作】四月は残酷な月 #シロクマ文芸部

 酔っ払って、バイト先の雑記帳にこんな文章を書き散らした。その後、下宿に戻り莫迦なことを…

海人
9か月前
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理想の異性 #シロクマ文芸部

「風車の弥七って誰?」  学生食堂で鶴野さんと同じテーブルになった時、そう訊ねてみた。鶴…

海人
10か月前
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突然消えた剛ではなく、フレディやほんの少しカールスモーキーのこと #シロクマ文芸…

 変わる時がある。誰にでも。  私の場合は高二の六月だった。突然、剛が消えた。    剛は…

海人
10か月前
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【雑談エッセイ】ベーと呼ばれた娘 または皆様へのお願い

 美奈子はファッションセンスがない。ファッションに興味もなかった。若い頃は常にアニエスベ…

海人
10か月前
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