さて、世間を騒がせているジャニーズ問題。
9月7日の4時間以上に渡る記者会見をご覧になって煮えきらない気持ちになった方は多いと思う。
最初は会社名は変えない、株主は相変わらず100%ジュリー氏。を通していたが、最後の方は折れ気味。井野原氏からも「社名は変えるなら変える、変えないなら変えない。議論していかなければならない」と。株に関しても「ちょっと、どうなるか・・・わかりません」みたいな、切れ味の悪い言い方をしていた。
その後、1年間報酬は受け取らず、100%タレントに支払うと発表したり。
これは、一部ではタレントの流出を防ぐためではないかという意見もある。わたくしワニもそう思う。ここでタレントを繋ぎ止めておいて、1年間であれば今のジャニーズの資産で十分生き延びられる。その代わり1年後は、またガッポリ頂きまっせ・・・みたいな。
こんなことしてたら、今まで事務所がどんだけハネていたかがタレントにバレバレなんじゃないか・・・と余計な心配もしてしまうが。
記者会見後も、各方面から色々な意見が飛び交い、ここらでまた交通整理が必要になったのか、10月2日に今後の方針を好評すると発表している。また各社生中継、ライブ中継するであろう。どんなことになるのやら。
ここで、このジャニーズ問題を一歩下がって遠くから見て、
独占と権力
について考えてみたい。
企業、ビジネスを生業とする組織であれば、誰でも「独占」を築こうとする。それは、
同業他社に対して優位に立てる
顧客に対して価格交渉、色々な条件等で優位に立てる
がある。その市場で高いシェアを確保すれば同業他社と競合になった場合、優位に立てる。また、顧客に対して唯一無二になれば顧客が他の同業他社を選択しずらく(他の選択肢がない)なり、価格、他の条件面でも優位に立てる。
これを、理想のいい形で実直に行ってきたのが謎の高年収企業、キーエンスである。
営業利益(売上利益ではない)で50%って、普通ありえない。じゃ、キーエンスがそんなにぼったくっているのか?というとそうはない。キーエンスは「物」を売っているのではなく「ソリューション」を売っているのだ。だから、顧客もそのソリューションに対してはそれに見合った対価を認める。やはり、唯一無二なのだ。
実際、元キーエンスの営業は超優秀だと言われている。
なので、ビジネスの世界ではまず最初に独占市場を築く、市場のシェアを抑えるというのは定石なのである。
一方、ジャニーズは・・・と言うと、男性アイドルタレントという市場で独占市場を築いた。これはジャニー氏、メリー氏のビジネスセンス、能力であろう。(一旦、ここで性加害については置いておいて)
市場を「独占」すると、それと共に「権力」というものが生まれる。ジャニーズの場合はこの「権力」の使い方がよくなかった。
権力の一方は性加害に使われた。改めて説明するまでもないが、いちタレントと巨大な芸能事務所の経営者。その立場関係から言ってもタレントは性加害を拒否しずらい。また、拒否したり、それが原因で事務所を離脱すれば、業界から「干される」可能性があることを考えるとタレントは増々、拒否しずらい。タレント側に拒否権、逃げ場はないのである。
権力のもう一方は、同業他社の排除に使われた。「あのタレントが出るならウチのタレントは出さない」とジャニーズに言われれば、それはもうジャニーズの言いなりで、相手側に退いてもらうしかない。
それは権力があるから言えることだ。なんの権力もない芸能事務所が「ウチのタレントはあの事務所のタレントとは共演NG」って言っても「はぁ?じゃ、そっちが止めれば?」と言われるのが関の山である。
その権力は辞めジャニと言われるジャニーズを退所したタレントにも使われた。辞めジャニは極端に出演の機会が絞られていた。
更にはジャニーズは番組やドラマの構成にも口を出していたらしい。これは完全な越権行為である。
今、改めて考えるとジャニーズのこういった行動は公正取引委員会が扱う案件ではないかと思う。もっと、公正取引委員会がちゃんと動いて、ジャニーズの競合他社排除の行動を指摘し、是正して、芸能事務所のパワーバランスを公平に保つようにしていれば、少しは状況は違ったのかもしれない。
そして、独占と権力は相乗効果を持つ。独占が高まると権力が生まれ、権力がどんどん強くなる。権力が強くなると、更に独占を強めようという方向に動く。そして、さらに権力は高まる。これをくりかえしていく。
ジャニーズも、競合他社を排除することにより独占を高め、それが権力を高め、更に独占を高め・・・を繰り返していったのである。
権力が高まってもいい方向に使われればよいが、世の中、世界の王朝の暴君の歴史、日本のバカ殿様の歴史が語るように、いい方向に使われることは、まずない。権力が高まりすぎると必ずどこかで暴走するのである。ジャニーズ、ビックモータしかり。
独占と権力は相乗効果をどこかでブレーキをかけるには、「独占」させないこと。市場のパワーバランスを公平に保つことである。
そういう意味で男性アイドルタレントの事務所がジャニーズ以外にも、あと2、3社あってパワーバランスを保っていれば、状況は少しは違ったのかもしれないと思う。