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真夏の九州うつわ旅・4日目(その2) ~うつくしき 李荘窯の世界へ~
8月に九州北部をめぐった「九州うつわ旅」の記録をしています。
季節はめぐり、10月の声を聞くというのに “真夏の” 記録をまだ終えずにいることを 情けなくも思いますけれど… めげずに続けてまいります!
旅の4日目は、朝から「九州陶磁文化館」を訪ね、午後は「福泉窯」の作業場を見学させて頂きました。
その後はまた、愛する有田焼の窯元を訪ねます。
❑ 4日目:8月11日 晴れ!
佐賀県の有田町にて、朝からとても充実した時間を過ごしている。
福泉窯をあとにして、夕刻向かったのは、私がずっと愛してきた「李荘窯」さん。
李荘窯さんについては、以前noteでつらつらと語っている。
この自分のnoteからちょっと引用。
李荘窯 四代目・寺内さまは、伝統と革新の両輪で有田焼をけん引されており、その多岐にわたるご活躍は、枚挙にいとまがありません。
寺内さまの うつわは、その美しさゆえ、国内外のトップシェフから愛され、わかりやすいところでは、一昨年(2019年)11月の天皇即位の礼 晩餐会でも、寺内さまのうつわが使われました。
またご活躍は飲食の場に留まらず、有田焼の新たな世界を創造されています。
「寺内さま」とは、李荘窯の現在のご当主、寺内信二さまのこと。
本当にすばらしいご活躍で、数々の名だたる一流レストランで寺内さまのうつわは使われているし、今年もまた伊勢丹の おせちカタログのトップページは、寺内さまのオシャレなお重で飾られている。
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今年の新作お重は、李荘窯 寺内信二氏によるもので、数十の青の釉薬が生み出す多様性の美と、おせち料理の多様性を表現しています。お重にはさまざまな青が存在し、あたかも青が変化し続けているかのように見えます。一つひとつの美もさることながら、組み合わせることでさらに美しいものへと昇華します。
なるほど…。
また、この日の午前中に訪ねた「九州陶磁文化館」に、李荘窯さんの作品が複数所蔵・展示されていることからも、九州の陶磁器界を代表する窯元の1つであることがわかる。
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『ARITAYAKI RHOMBUS WORKS
野老朝雄 李荘窯 2019年 佐賀県立 九州陶磁文化館所蔵』
文化館の中でも、目を引く展示。
常に有田焼の新たな可能性を追求され、一方で古伊万里からつづく染付の世界も大切になさっている。
私はそんな寺内さまの世界が大すきで、有田に来たら李荘窯さんはゼッタイにはずせない。東京でも何かあれば行っちゃうけれど。
私が李荘窯さんのうつわに夢中になるのは、うつわそのものに魅了されるだけでなく、寺内さまのお人柄によるところも小さくない。有田焼への愛情に満ち、あふれるほどのバイタリティで伝統と革新の世界に邁進される。さらには有田焼のみならず佐賀県全体の文化の醸成・発展に情熱を注がれるお姿は眩しい。
そのようなお立場でありながら、とっても気さくで、ユーモラス。そのうえ、驚くほど自然に、あたり前のように、細やかなおもてなし精神を発揮されるものだから、敬服しちゃう。
この日もそうだった。
東京青山での個展やら おせちのお重やら、もろろもろを控えられてお忙しい最中、わざわざお時間を割いてくださって、私たちに たのしいたのしいひと時をプレゼントしてくださったのだ。
有田焼のこと、李荘窯さんのことはもちろんのこと、地域の貴重な情報などもたくさん教えて頂いた。
感謝いっぱい。
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陶片から有田焼のルーツを感じる。
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「灰釉」が施され、やわらかな風合い。
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たのしい時間はあっという間に過ぎるもので、夕食の時刻となる。
たのしい時間はあっという間に過ぎたけれど、これからの夕食は、さらに わくわくの時間だ。
私たちが向かったのは、武雄の御船山楽園にある「Kaji synergy restaurant」。
自然豊かなロケーションのもと、佐賀の食材をふんだんにつかったおいしい食事とワインを提供してくれる、夢のようなレストランだ。「地域の相乗効果(シナジー)を目指す、いなか料理レストランです」というけれど。これが「いなか料理」というものなのかしら。
お時間があったら ぜひ、ソムリエ&オーナー梶原さまの想いに触れて頂きたい。
ナマの言葉をお聴きできた私たちは幸せ者。
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そして、こちらではおもに、李荘窯さんのうつわが使われているのだ。
今日の後半戦は、とことん李荘窯さんの世界に浸ろうではありませんか。
もちろん、すばらしい食の世界にも。
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オクラのお花は、はじめて食した。
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パクチーも添えられる。
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この頃から日が暮れる。
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うつわは唐津焼・中里太郎右衛門窯。
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酸っぱさを隠さないトマトソースが媚びていなくてグッときた。
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ナイフを入れるとトロ~ンとしたチョコレートが…♡
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ほんとは一つひとつ、食レポのように感想を述べたいけれど、コンセプトの上にたつお料理があまりにも素晴らしすぎて、私には無理っぽい…。
もう、どれも「おいしい」の一言につきるような気がするし、私の貧相なボキャブラリーでそれ以外の言葉を発すれば、かえってお料理が台無しになりそうだから。
ただお伝えしたいことは、地元の食材の魅力をこれだけ表現してくれるお料理にとても感動したし、麺のキャプションにも書いたけれど、まったく媚びていないところに魅了されてしまった。
酸っぱいものは酸っぱい。香るものは香る。フードロスの問題にも着目され、さまざまな食材に魔法をかけておいしい一皿にされる。
まさに土地の自然を、命を頂いていることを意識させてくれるお料理だった。うつくしく繊細でありながら、芯の強さを感じたし、食材のさまざまな組み合わせには、ほろっとした。
すばらしいお料理。うつわとのマリアージュも最高!
ご馳走さまでした。
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この旅行も、明日でおしまい。
この夜にふさわしいお食事だった。それに、李荘窯さんのうつわも堪能できて、満ち足りた夜だった。
朝から晩まで、有田焼を十分に満喫できた一日に、感謝。
今夜はまた、ILHAさんでぐっすりと。
❑ 4日目:8月11日(金) 晴れ
有田の定宿「ILHA」→ 「九州陶磁文化館」 → 「有田ギャラリー」 → 「福泉窯」→ ちょっと寄り道 →「李荘窯」 → 「Kaji synergy restaurant」で満ち足りた夕食を。
記録はしませんでしたけれど、この日は途中、「幸楽窯」さんや「アリタセラ」にも ちょっぴり伺いました。
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翌日・最終日は、これまた思い入れ たくさん。どのように書こうかしらと、ちょっと考えています…。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。