こよみだより ✽ つちうるおうて むしあつし ✽
お暑うございます。
二十四節気では、一年で最も暑さが厳しいとされる「大暑」を迎えています。
そして二十四節気を三つに分けた七十二候では今日、「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」に入りました。
土潤溽暑。
草木が生い茂り、潤いを得た大地に夏の太陽が照りつけて、熱気がまとわりつくような時季です。夏のこの蒸し暑さは、日本独特のものでしょう。
暑いのが苦手な私は、ついつい「暑い、暑い」と口にしてしまうのですけれど、七十二候のことばをおもうと、情緒を感じて暑さが少しやわらぐような気がします。
一方で近年は、かつて自然と共にあった夏の風情が 少しずつ消えゆくように感じることもしばしばです。
夕立はゲリラ豪雨と化し、猛烈な熱帯夜にはエアコンが欠かせず、夕暮れ時に揺れる風鈴の音色も 埋もれがちになってしまいました。
だからなおさら、風情を感じたときには、ちいさな幸運を得たような感覚になるのかもしれません。
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私は先日、東海~近畿地方のやきものの里を訪ねてきました。
その中で兵庫県「丹波焼」の里を歩いた時のこと。
お天気は曇り ときどき小雨。気温は高く、まさに土潤溽暑を感じさせる日でした。
急こう配の坂道を歩いていると、着ていた綿のワンピースも 私の気持ちも、湿気と汗とで軽やかさを失ってしまうようでした。
けれど時折、ふうっと夏風がそよぎ、そのわずかな風がとびきりの癒しを運んできてくれたのです。
湿り気を帯びた土や草木、窯の煙突、そこに暮らす方々の家屋、響き渡るうぐいすの声。
それらをやさしく撫でるように流れゆく風に包まれながら、久しぶりに「こよみだより」を書いてみたいと思いました。
うぐいすの声は春のものだと思っていましたけれど、暑い夏に聴くのも良いものだとしみじみ。
(約40秒の動画を撮りました。上手には撮れませんでしたが... いかがでしょう?)
暑い日が続きます。
どうぞお身体 おいといください。
ご覧くださいまして、ありがとうございました。