こよみだより *芒種*
ー 紫陽花の写真とともに ー
2021.6.5
二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」入りです。
芒種の「芒」は、訓読みで「のぎ」と読み、稲や麦など、稲科の植物の先端にある 針のような突起のことを指すのだそう。
その「芒」をもつ穀物の 種をまく時季とされたのが、「芒種」です。
現在は、田植えの時季は 少し早まっていますけれど、昔は水苗代で育てた苗を田んぼに植えたのが この時季だったそうです。
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そして 芒種の頃は、「五月雨(さみだれ・さつきあめ)」の季節です。
耳馴染みのある雨の名前。 五月雨とは、旧暦の5月頃、つまり 今の時季に、しとしとと降る長雨・梅雨のことです。
今年は、各地で早々に梅雨入りをして驚きましたけれど、その後はひとやすみ。関東甲信以北では、もう少し先になりそうですね。
これから先に 降り続く雨にも、「五月雨」という美しい名前がついているのかと思うと、情緒を感じられそうです。
その雨の季節の象徴とも言えるようなアジサイが、景色に彩を与えてくれています。
アジサイの語源には、いくつかの説があるようです。中でも有力なのは、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」から転じたという説です。
「あづさい」の「あづ」は、とくに小さいものが集まる様を意味し、
「さい」は、「さあい」の約で、意味を強調する接頭辞「さ」と、「あい(藍)」が合わさった言葉とのこと。
藍色の小さな花の集まりとは、なんとも愛らしく、日本の花らしくて、私は語源まで好きになってしまいそうです。
ちなみに、現在は海外でも広く親しまれているアジサイですが、もとは日本固有の ガクアジサイから広がっているそうです。
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この時季は、蛍が淡く光り始める頃でもあります。
今は蛍も減少し、私はしばらく その姿を見ていないのですけれど、
またいつか、どこかで、蛍が描く幻想的な光の弧を眺めてみたいと思っています。
梅の実も色づく頃。トマトやきゅうり、枇杷(びわ)も瑞々しく、旬を迎えます。
この季節の楽しみが、たくさん みつかりますように。
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―写真について ―
▪ 2枚目の “芒” の写真は、道端に揺れていたものですので、おそらく稲科の雑草なのだと思います。。
▪ 今回は、てくてく歩いて、少しめずらしい品種のアジサイも撮りました。
上手ではありませんけれど、わずかでも季節の花をお楽しみ頂けたとしたら... うれしいです。
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ご覧頂きまして、ありがとうございました。