初めてのウンチ ~カエル日記#4~
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つくしが我が家で初めての夜を明かした翌日、私は朝起きると真っ先につくしの様子を見に行った。すると、昨日まではつくしとキッチンペーパーと水草しかなかったはずのプラケースの壁に、黒くて細長い物体がくっついていた。
・・・これは何?このケースの中にはつくしか水草しかいないはずだけど、他にも何か紛れ込んだ??
寝ぼけた頭で私は考えた。
もしやその物体が動き出すのではないかと思ってしばらく見つめていたが、ピクリとも動かない。どうやら生き物ではなさそうだと少しホッとしたところで、ようやく私は一つの事実に辿り着く━━━
それは、つくしのウンチだった。
なんと、つくしがウンチをしたのだ!!
生まれて初めてみたカエルのウンチ。全長3cmにも満たない小さなカエルから出てくる排泄物だから、そんなに大きくはないだろう、私は勝手にそう思い込んでいた。形もウサギのフンのようなコロコロした小さなカワイイものであろうと。
が、しかし、その全長3cmの小さな体から出てきたウンチは、長さ約1cmもある立派なバナナ型だった。
「ウンチ、出たの?やったね!!」
嬉しさのあまり、思わずつくしに話しかけてしまった。
嬉しかったのには理由がある。
なぜウンチが出るのか、その過程を考えてみてほしい。
その始まりは、まず食事を摂るということである。
食べたものは消化管で消化され、必要な栄養は血となり肉となる。そして、不要なものはウンチとして排泄されるのだ。
つまり、つくしはここに来るまでにちゃんとご飯を食べていた、ということになる。
そして「便秘」に悩む人が多いように、さまざまな要因でウンチは出なくなる。
食事の量が少ないことも原因の一つであるし、ストレス、運動不足、ホルモンバランス、加齢などによって消化管の動きが悪くなると、ウンチはなかなか出ない。
ちなみにこれは「ヒトに関して」ということではあるが、動物全般においても同じではないかと私は思っている。
とすると、つくしがウチに引っ越してきて、一晩でウンチをしたということは、それなりに元気だということではないだろうか。
この結論に達した私は、鼻歌まじりにウンチを眺め、つくしの第一発見者の友人に連絡をした。
「つくしがウンチをしたんです!」
「そうなんだ」
「見たいですか??」
「・・・いや、写真は送らなくて大丈夫」
明らかに友人は戸惑っていた、が━━━
「けど、良かったね」
友人は冷静に返事をくれた。
昨日は一日中、水草の中に隠れてじっと動かなかったつくしである。そんなつくしを眺めながら、早くウチに慣れて欲しいと祈る気持ちで、私は一晩を過ごした。
その気持ちを察してくれた友人からの「良かったね」だった。ただ━━━
実際のところ、ウンチを見て喜んでばかりもいられない。
ウンチをしたということは、お腹が空いてきているはずだから。つまり、つくしがこれから生きていくためには、食べなければいけないのだ。
ネットで見た情報によると、ヒトに飼われるカエルは、環境に慣れないとご飯を食べないかもしれないらしい。
もし、つくしがご飯を食べてくれなかったら?
今こうして目の前にいるつくしがどんどん衰弱していく姿を想像し、私は一気に不安になった。
つくしは果たしてご飯を食べてくれるだろうか。
私が初めてつくしにご飯をあげるのは明日。
「お願いだから、食べて」
何食わぬ顔で佇むつくしに、私は願うのだった。
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