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わたし、昭和の女です。


先に、宅配を頼み、見てみると、なんと容器で届きました。


な、なつかし~!

わたしが、まだ小学生だったころ、出前は全部これ。
しかも、翌日以降、店の人が適当に取りに来るので、前日にきちんと洗って、外に出しときます。

最近、ちらほら、と見なくなっていた。出前の容器。
あれを、他家で見るとなんだか、ワクワク嬉しい気持ちになったのを、よく覚えている。
うちも、あの店食べたなー、とか。

いつも、母は丁寧に洗って廊下に出していた。
いまは、つぶれて失くなった、幸楽というラーメン屋さん。
炒飯と、瓶コーラが美味しかったのを、よく覚えている。

釜飯を、口の中いっぱいにして、薬味を使い、出汁を使い、たくさんモグモグ。
ごちそうさました後は、私もきれいに洗う。
なぜ洗うのか?その理由を、子どものころ、母に聞いた。

「おいしいご飯をありがとうって、お返しするのよ」

そうなのか。だから、出前のラッタッタは、いつも嬉しそうなのか。
たまに、兄さんは出前の皿を割ってしまい、中華屋さんに、睨まれて、気まずくなっていた。
行くのやめないか。いや。なんで。おいしいから。俺は気まずい。わたしは大丈夫。

あの頃、暮らす地域は穏やかで、どこもノンビリしていて。
夕暮れ時、薄紫の夕空を眺めながら、ランドセルを振り回す。
よ、いま帰り、またよろしくね。
出前を、取った店のバイク(ラッタッタ)が、下校中の私に、たまに声をかけてくれた。
路地の文化。

昭和の日々の黄昏は、出前の流れで見えかくれしているようで。
母にならえで、しっかり洗いながら、ふと、懐かしい気持ちになり、それだけで、いま抱えてる問題の何もかもが、どうでもよくなる。

わたし、昭和の女です。


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当麻 あい
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