なんで美術館に行きたくなるのか。
先日、松本民芸館に行った。
久しぶりに、誰かと展示をみた。
初めのうち、いつもと同じようには集中できなくて、
ふと、私はいつもどうやって展示を見ているのだろうと思った。
ものに対峙した時、私の頭の中はからっぽだ。
目の前にあるものをじっと見ていると、なんにも感じないものと、
ぞわっとする何かがあるものがある。
それは有名無名にかかわらない。
それで、なんでこんなに気になるのだろうかと、遠くから近くからじっと見る。ただぼーっと眺めるものもある。そうすると、浮かんでくるキーワードや気づきがあったり、なかったり。その時間が楽しい。
目の前にあるもの以外を考えない時間。
年末には、日本民芸館にも行った。
最近、オンラインで柚木沙弥郎さんの講演ビデオを見て、なるほどと思ったこと。
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(下記、私のメモより)
柳宗悦さんは、直観を大切にしていた。「感」でなく「観」。
直観とは、ものが発する、発信してくるその声を聞き取ること。ものと人との交信。その相互作用。
そのものの生きてきた歴史、物語が今自分の見ているものの中に息づいている。
感性をみがくことは、一種の訓練が必要。
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たとえば、壺をみるとき、
機能としての壺をみるのでもなく、○○焼というブランドをみるのでもなく、
それ自体の佇まいを観て、その壺から感じられる生活の変遷や、人が死んでも物が残ることや、そういう大きな流れを感じているのかもしれない、と思う。
普段のことから離れて、でも確かに日常とつながっている大きな流れを思うこと。
今に感覚を置くこと。
そして、普段の自分の中にはない、新たな発見があること。
その時間が好きで、美術館に行っているのかもなと思いました。