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第一回『こころ』句会

「ねー、ねー、大祐くん、わたし『こころ』っていう句集出したんだよ」
「説明セリフありがとう千春さん。で?」
「なんかやりたい。句会とか」
「じゃあ、蔭一郎さん呼んで、zoomで句会やってみるか。もしもし、一郎さんそんなわけでいかがっすか?」
「あ、いいですでねえ。やりましょう」
「どうしましょう。会話はzoomでできるとして、投句は……Googleフォーム使ってみますか」
「それ、いいと思います」
「わたし、機械のことわかんないから、大祐くんやって」
「わあった、わあってるから」
「この三人だと手の内がわかりすぎてるから、直前に題を出して、即吟で行ったらと思うのですが」
「あ、それいいですね。時間制限5分とか」
「いいと思います」
「え、マジ? 千春さんいいの?」
「うんっ! やってみる!」
「いいの? いいのか!?」
「いいと思います」

 と言うわけでやりました。川柳句会。それぞれが思いついた「題」を提示して、5分間のタイマーを仕掛けて時間内に作れるだけ作る!
 で、特に点数とかつけずに、一句ずつ感想を言い合っていくスタイル。邪道なのかもしれないけど、この場ではええわ。
 川合大祐は頑張ってたくさん作ろうとしたけど、なんか空回り。蔭一郎さんと千春さんがすげえの作りまくるわまくるわ。
 感想までは書く余裕がないけど、印象に残った句。

あなただけ嵐のなかで敷く蒲団  一郎(題「嵐」)

「うまい!」(千春)
「〈あなた〉を排除した集団も、相当イかれてる感じがする」(大祐)

包丁を研いでは告げるありがとう 千春(題「ありがとう」)

「こわい!」(大祐)
「これ、絶対刺しますよね。笑いながら。川合さん気をつけて」(一郎)

テルミンの寿命と臼を比べあう   大祐

「テルミン(笑)。ここでテルミンと臼をもってくるかあ」(一郎)
「てるみん、ってなあに? わかんないけどおもしろい」(千春)

……そんなわけで3時間くらい川柳を語り合っておりました。無茶苦茶楽しかったっすよー。また機会があればやります。どうぞお楽しみに。私もまた修行してきます。ふっふっふ(謎の微笑)。

#川柳 #川柳句会


第一回「こころ」句会  2024年8月15日

 於:zoom 出席者 蔭一郎・川合大祐・千春

席題「嵐」 出題者 千春 (*出句順、以下同じ)

嵐抱く君を抱くよう嵐抱く    千春
煮るために薬缶にいれる青嵐   一郎
永遠の嵐が丘に枯葉剤      大祐
牛が問うゲームセンター嵐の歯  一郎
東京の嵐に指を折ってゆく    大祐
嵐産む初産ではないけれど    千春
終戦のゲームセンターあらしの日  大祐
あなただけ嵐のなかで敷く蒲団  一郎
嵐らを愛す老人J愛す      大祐
箱庭に乳首のみえる嵐たち    大祐
ピーナッツ嵐のなかで尿をして  大祐
自転車のペダルをこいで産む嵐  一郎
マコンドに嵐が去った影絵劇   大祐
嵐の日葡萄が告げる御懐妊    千春
コロンブス機械嵐に巻き込まれ  一郎
無意識の嵐が愛の葉を散らす   大祐

席題「ありがとう」 出題者 大祐

古釘の切なさ隠すありがとう   千春
万物がすべて川柳ありがとう   大祐
ありがとう台形にも底がある   一郎
猿股と黄金銃にありがとう    大祐
ひらかれた鋏が神にありがとう  一郎
ありがとうユーミンが湯を凍らせる  大祐
船が行くありがとうの桃を乗せ  千春
ありがとう星人たちと聖母祭   大祐
ありがとう傘を投げたら閉じた海 一郎
包丁を研いでは告げるありがとう 千春
ありがとう刑事のかけるフランケンシュタイナー     大祐
ありがとう草笛光子森光子    大祐
枝の蛇ありがとうしかいってない 一郎
ありがとうここにおにぎりだけがある  大祐
御礼なら月光菩薩言ってくれ   千春
蚊遣香エデンの園にありがとう  大祐
画鋲落ちめくれたままのありがとう  一郎
紫蘇を切るあなたは割れるありがとう 千春
ありがとう広辞苑引く村田らむ  大祐
笹舟に密航してるありがとう   一郎

席題「寿命」 出題者 一郎

寿命までドラえもんらのくりかえし  大祐
棒で突きそらの寿命を短くす    一郎
月の裏雲間差し込む寿命です    千春
パーマンの寿命に誰も涙する    大祐
一筆にレキシントンの寿命の図   大祐
猫の恋あなたは地球上に居る    千春
雪が降る河馬の寿命と手をむすび  一郎
或る女からの寿命を墨で書く    大祐
錠剤の寿命がわたしより長い    一郎
残暑まで架空戦記の寿命かな    大祐
寿命から笛を隠して腹が鳴る    千春
テルミンの寿命と臼を比べあう   大祐
王子去りひかりをのこす薔薇の寿命  一郎
くのいちと寿命について語る祖母  大祐
寿命です廻り道をしてください   千春
橋本も三沢も死んだ寿命島     大祐
寿命だけ気にして改行ばかりする  一郎


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