ダンジョン飯にあこがれて 第十二回
風の探索者 大陸編~Eternal Flame(2002年)
2002年、世はまさに大MMO時代。先行していたUltima Online、Lineage、Ever Questなどの成功は言うに及ばず、この年立ち上がったファイナルファンタジーXI、ラグナロクオンラインは一般層にネットゲームを認知させた。当時のMMOは月額課金制度が主流。毎月千数百円を巻き上げられ続け、少しでも元を取るためと称して自主的に余暇時間を捧げ続けたユーザーたちに他のゲームに手を出す余裕はほとんど無かった。中小のゲームメーカー、特にRPGを得意とするようなところには困った時代であったと思われる。
風の探索者大陸編は、このような時代にグルッポワンという有限会社から出た3作目のRPG、ダンジョン探索型のRPGである。レベルを排したスキル制ゲームシステム、ランダムに生成される激レアトレハン要素…と、若干UOあたりの影響を感じなくもない。遊びごたえは十分にあるソフトである。
2024年現在、このソフトをプレイするには…
現在、このソフトを遊ぶのは大変難しい。何故なら会社がとうの昔に倒産してしまい、ソフトの流通量が極めて少ないからだ。たまに中古品がAmazonに出品されていることがあるが、個人的には少々高すぎる気がする。
体験版がある
入手は極めて困難なこのソフトだが、なんと体験版の無料配布がまだ生きている。ありがとう4Gamer.net…
現代ではもう使われなくなった.lzh形式での配布というのが時代を感じる。lhaplusや7-zipといった解凍ソフトのインストールが必要である…が扱いに自信が無ければやめておこう。たかが体験版、無理する必要はない。いちおうWindows10環境なら問題なく動くことは確認している。
まずはキャラを作ってみる
プレイヤーはとある修道院の孤児たち4人組という設定。養父の稼業にあこがれて「探索者」を目指す…というプレ・ストーリーがマニュアルに書いてある。ペーパードールと名前を決めたらとりあえずゲームスタートで良い。
基本的に技能は特定の一つを特化したスペシャリストを四人作るのが最適解である。一人が複数の技能を所持したり、技能被りのメンバー複数人持ちは少し上級者向けのビルド。慣れるまでは避けたほうがいいだろう。
初期経験値は4つのスキルを5.0ポイントにするのが限界。惜しげもなく全部使おう。今回は見た目アニキのクアルさんに前衛を張ってもらうことにして、キーンさんは後衛から錬金術(魔法攻撃)担当、カリンちゃんは後衛で医療術(ヒール)担当、ディジーくんは測量担当…と戦闘中は暇なのでダーツ投げに徹してもらう。そういう感じのデザインにした。さらにダメ押し。
現金でスキルを買う
戦闘スキルは命中率にも回避率にも適用される数値なので、極振り一択。とは言っても初期所持金は10kなので無理してもスキル値7.0がやっとだろう。
おっと忘れる所だった。前衛には当然武器が要る。一番安いダガーで充分だろう。防具も前衛にはあるほうがいい。測量士にはダーツを持たせておく。
後は同様にして錬金術を7.0に、医療術を7.0まで鍛えると、所持金も底をつくはず。
いざ、探索へ
すべての準備が終わったら、酒場へ行って最初の仕事を受注しよう。
仕事を決めたら、いよいよ出発だ。町マップにダンジョンへのアイコンが増えているのに気が付くはず。
フォーメーションを考える
さて、このままでは戦闘に対応できない。まずは陣形を組もう。
下のアイコン群から「隊列」のアイコンを選ぶと、選択中のリーダーの立ち位置を移動できる。移動先に他のメンバーが居る場合は位置交換になる。この場合、カリンちゃんはヒーラーなので後衛に配置したほうがいいだろう。キーンさんも後衛だが、高い錬金術スキルは回避率としても機能するので、側面の壁役も兼業してもらう。ディジーくんは戦闘面では全くアテにできないので、一番狙われにくい中央配置へ。クアルさんは、前面全てとキーンさんがカバーできない逆側面の壁役を兼任する。
上図のような配置で、敵との接触はなるべく前面もしくは左側面で受けるようにすると、クアルさんがタンクとして全部受けきってくれる。どうしても右側面でも受けざるを得ない場合は、キーンさんが回避することを祈りながら最優先で右側面の敵を掃討する。背面を突かれるような展開になったら、逃走しよう。方向転換して仕切り直したほうが安全だ。
戦闘はATB方式
陣形が組めたらダンジョンの奥へ進んでいこう。すぐに敵に出会うはずだ。
戦闘はいわゆるアクティブタイムバトル風。素早い順にターンが回ってくるし、コストの低い行動をするほど待ち時間は短くなる。初手はパーティ全員同時に行動開始できるので、ディジーくんはダーツ投げ、カリンちゃんはクアルさんに癒しの術、クアルさんはダガー攻撃、キーンさんはロブボール(火球)の術を使う。後はディジーくんとクアルさんにもう一回ずつくらい攻撃ターンが回ってくれば戦闘は終わるはずだ。
隠し扉を見つける
ダンジョンを進んでいくと、リーダーの頭上に「!」マークが出ることがある。これは感知できる範囲に隠し扉があるサイン。リーダーを計測術スキル持ちのディジーくんに変えて調査コマンド→自分を指定しよう。何も起きなくても何度か繰り返していると隠し扉を発見できるはずだ。
おっと、こういう扉には大抵鍵がかかっている。鍵は同レベル以上の工作スキルか錬金術スキルで解除できるが、今は工作スキル持ちが居ないのでキーンさんに開けてもらおう。
食事は大事!食は生の特権だ
こうしてダンジョンを探索し、モンスターのドロップアイテムを漁ったり宝箱の中身を漁ったりしていると、だんだん満腹度が低下してくる。満腹度はローグライクの満腹度ほど死に直結してくるものではないが、攻撃の命中・回避や行動の消費時間に大きく関係しているパラメーター。食料は常に抱えておき、満腹度が7割切れたら食べるぐらいの意識を心がけよう。
難しくはない、とにかく時間がかかるゲーム
以上の基本を守れば、まず詰むことはない。お金は探索中の食費に使っても貯金ができるくらい余裕があるし、戦闘での乱数下振れによる事故死は…ないわけではないが、こまめなセーブを心がけていれば被害は最後のセーブから探索に費やした時間だけで済む。ただし、ダンジョンをくまなく探索するということは、必然的にダンジョン内のモンスターを殲滅することになる。経験値はあるに越したことがないので、見逃す理由が無いのだ。その結果、ダンジョン攻略には滅茶苦茶時間がかかる。クリアまでのモチベーションをどう維持するかが課題となるだろう。
時代が悪かった?
長々と序盤のコツを書いてきたこのゲーム、製作者の素性からごく一部の界隈で話題にされることがある。ほぼ元日本ファルコム社員で作られたソフトなのである。もっとも、彼らは翌年4作目の風の探索者2を出したところでギブアップ、その後の行方は調べてみてもよくわからない…。
とにかくこの頃、ビジュアルノベル系エロゲーでもない一般向けRPGなんぞベンチャーが作っても勝てる道理はなかった。小規模体制で作ったものとしては間違いなく高水準の作品なのだが…もしMMOが廃れていた時代なら、SNSのクチコミが生きる時代なら、あるいは違ったのだろうか。たらればを言っても仕方がない話ではあるが。
風の探索者は他に2つあるんですが…
風の探索者2は、初代 風の探索者Grand Slamの伏線を回収する作品なので、1と2両方セットで揃えるのが望ましいと思います。ということは大陸編より入手難度が高いということ…。
以前プレイしたときのツイートを備忘録的にまとめたものがこちら
もうほぼ3年前なんですね、懐かしいや。
プレイ日記、あります。
風の探索者 大陸編で検索すると明宮村氏のプレイ日記がヒットします。おそらく世界唯一の完結している風探シナリオまとめなので、興味があればご一読を。いや待った、もし将来本気で大陸編をやる気があるなら逆に見ないでおきましょう。最後までネタバレたっぷりなので。