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ダンジョン飯にあこがれて 第十一回

ブランディッシュシリーズ紹介もいよいよ今回が最後。最終作にして異端作のブランディッシュ4についてである。

ブランディッシュ4(1998年)

ブランディッシュ4(Windows版)

1998年。Windowsも98の頃になると、DOSベースのものと比べても遜色のないクオリティのゲームが作れる時代になっていた。そこでファルコムが引っ提げてきたのはPC-98時代最後のARPGの強化移植作、ブランディッシュ4。当時のトレンドであったクォータービュー視点を取り入れたARPGである。しかし、機種違いの移植にかかる時間差に守られたPC-98時代と異なり、Windows時代は世界の最先端・最新作と競う時代。DiabloUltima Onlineのような強者と同じ土俵で戦うことになる。果たしてその結果は如何に?

ブランディッシュVT(1996年)の誕生

ブランディッシュVT

ブランディッシュ4を語るなら、まずはブランディッシュVTの話をしなければならない。ブランディッシュVTは1996年秋、ファルコム最後のPC-98作品として出たゲーム。VTとはどういう意味なのか?有力な説としては、もともと完全新作Victim's Towerとして開発されていた名残り、と言われている。
クォータービューのフィールド。世界観に繋がりは認められない。これだけ見ると完全新作で通るかもしれない。が、触ってみるとわかるのだが、内部の計算自体はブランディッシュのまんま。マップの広さも4歩で1グリッドなのも全く一緒。新作を名乗るには少々無理があったのかもしれない。

VTと4、どう違う?

ブランディッシュ4

プラットフォームをWindowsに移したことで、PC-98のハードウェア制約に囚われずにできることが増えた。画面は16色表示から256色表示へ。魔法のエフェクトは増量。一枚絵のイラストは全て原画から描き直し。さらに新プレイアブルキャラを二人追加している(片方は短編のおまけシナリオだが)VT完全版が4という解釈で概ね正しい。

世界に居住しているという生活感

「神の塔」外観

ブランディッシュ4の舞台は調査隊によって発掘が進められている超巨大な古代遺跡の塔。10年も続く調査の結果、ふもとには街区と呼ばれる生活区が出来ており、商店・宗教施設・酒場・カジノなどの施設が並んでいる。

なお、教会は何の役にも立たない

システム上あまり意味はないが酒場では食事を摂ることもでき、街区で英気を養っては塔の探索に出向く、という調査隊生活を演出している。

魔物料理も取り扱ってる。完成じゃ!(例のBGM)

所持金の都合さえつけば、空き家を買い取って自宅(アイテム保管場所)も作れる。ダンジョン調査生活が送れるというわけだ。

カジノで粘れば序盤で購入可能だったりする

属性と変化するシナリオ

どう答えよう…?

本作最大のセールスポイント、それは性格属性の概念とそれによって変化する3つのエンディングである。(ディー、クレール、キエンのみ)
シナリオ中盤までのイベントは、必ずと言っていいほど三択になっており、「善人的な行動」「悪人的な行動」「どちらでもない中間の行動」を選ぶことになる。そして選んだ選択肢の傾向が極端に偏ると、自分の属性もライトやダークに変化する(スタート時はニュートラル)。もちろん、属性の変化とは無関係に選んだ選択肢で展開も変わってくる。判りやすいところだとメルメラーダに奪われた輝玉板の枚数で中盤の展開に違いが出てくるはずだ。

ここまで来るとどのエンディングになるかは確定している

終盤は属性が固定化し、三種の属性に応じて全く別の展開になり、エンディングも分岐する。こう書くと1人のキャラで3周しないとエンディングコンプできないのか!という話になるが、いちおう同キャラの2周目以降はスタート時から強力な装備が与えられたり、難易度の高いダンジョンギミックを破壊するショートカットスイッチも設置されるので多少は楽になる。

クォータービューならではの新ギミック

歴代ブランディッシュプレイヤーの中には、4のクォータービューについて否定的な意見も少なくない。シリーズのオリジナリティを失ってしまった。視界が広すぎて緊張感が無い。キーボードの上キーで右上に行くのが無理だった。等々。そういう物だと思って慣れていただくしかない…という感じではあるが、今までできなかった表現が可能になったというメリットもある。
例えば匍匐(ほふく)移動などは最たるものだろう。

矢の雨を掻い潜って進む

また、水中ステージという表現も今までにない試みであった。

室内が完全に水で満たされている

この他にも、終盤の神殿の天地反転トラップは、このシステムで無いと実現不可能なもの。クォータービューも存外悪いものではない。

仕切り直しの新シリーズ、開幕…?

…と行けばよかったんですけどねぇ~。

一方、同社のイースや英雄伝説を中心に遊んでいたユーザーからは、本作は概ね好意的に受け止められている。クォータービューの見下ろし型はオリジナリティこそないかもしれないが、ゲームプレイの観点からは快適である。世界観が良く練られ、シナリオが作りこまれてる点もファルコム主力商品に通じる所。

クレールちゃんも可哀想可愛いし。

また、「神の塔を上へ上へ登っていく」というシンプルな探索は初代ブランディッシュの流れによく似ている。シリーズを重ねるほど複雑になっていった探索を一度リセットし原点回帰を目指したのではないか。
…惜しむらくは、シリーズを仕切りなおして新規参入者に優しいデザインで作られたにもかかわらず、この一作品のみで後が続かなかったこと。様々な事情からそうならざるを得なかったのは想像に容易いが、ファルコムと言えば軌跡とイースの会社、あるいはかつてザナドゥとソーサリアンで一時代を築いた会社、としてしか語られない現状にはいささか歯痒い思いがある。
ブランディッシュ4はシリーズ未経験者にも入りやすく手堅くまとまった内容の名作である。機会があれば是非プレイしてみてほしい。

メルメラーダシナリオは、一番最後にやるのがおすすめ

2024年現在、ブランディッシュ4を遊ぶには…

DMM GAMESかDL Siteのダウンロード販売を利用するのが現実的でしょう。
だいたいワンコイン程度で買えます。半額セールの時を狙うともっと安い。

26年前のソフトではありますが、WindowsPCであれば動く可能性は割と高いです(レビューの動作確認報告参照)。


まだ生きていた、公式サイト

あまり目立たない所にリンクが張ってありますが、実はファルコム公式には26年前のブランディッシュ4コンテンツが残されてたりします。

各主人公のプレストーリーはマニュアルに掲載されているものですが、これがちょっとしたラノベ並の文章量。プレイ前に読んで気分を高めましょう。


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