ダンジョン飯にあこがれて 第三回
アイ・オブ・ザ・ビホルダー(1991年)
日本への移植は翌年1992年。そもそも、コンピューターRPGの進化を遡るとほぼ確実にテーブルトークRPGと呼ばれるジャンルのダンジョンズ&ドラゴンズという作品の名前が出てくる。ダンジョンRPGの祖・ウィザードリィも発端は一人でD&Dできねぇかなぁ、と思った学生が組んだプログラムと言われている。今でも人気のバルダーズ・ゲートシリーズもD&Dをコンピューターで遊べるというのがコンセプト。本作はそんなD&Dの改定ルール「アドバスンドダンジョンズ&ドラゴンズ2ndエディッション」ルールでリアルタイムダンジョンRPGを作った意欲作である…TRPGの本家本元ルールでダンマス作れば最強じゃね?って発想なのかもしれない。そうかな…?
本格的キャラクターメイク
ゲームを新規に開始すると、オープニングデモの後、AD&Dルールに則ったキャラメイクがおこなれる。種族・性別・職業・アライメントに顔アイコン…決めること多いな?!これらはAD&Dがそうだったからこの形式、というだけなので、バランス調整なにそれ美味しいの?状態である。本ゲーム攻略において全く役に立たない種族職業はあるし、マルチクラスのほうが便利そうなどの雑な理由で職業選択すると後々困ることになる…最後に名前を決定して確定。を4人分行う。まじすか。
本格的魔法
当然呪文もAD&Dルール準拠だ。コンピューターRPGにありがちなMPの概念はなく、魔法を使うには呪文を記憶する→キャンプで8時間休んでチャージ→一度使うと再度休憩するまで使えない という使いどころが悩ましいシステム。休憩を挟まず同じ魔法を連発するためには同じ魔法を複数個記憶しておく必要がある。んん…?
もしかして、AD&Dと満腹度システムって相性悪くない?
ここで問題になってくるのが僧侶レベル3呪文「クリエイト・フード」。元々AD&Dに存在する食料を作り出す魔法だが、この呪文を覚えてしまうと食料のリソースが無意味になる。というか、むしろクリエイト・フードによる恩恵を表現するために満腹度システムがあるのではないかという本末転倒っぷり。食は生の特権ではなかったのか。ダンジョン飯 ああダンジョン飯。
でもシナリオの雰囲気は抜群!
ダンジョンマスターは壁に書かれたヒントを頼りに黙々とギミックを解いていくとエンディング、といった風情だったが、アイ・オブ・ザ・ビホルダーはちゃんとRPGしている。要所要所に配置されたNPCが舞台背景を語り、パーティに参加したり、クエストを提案してきたり、攻略のヒントをくれたりする。待ってくれたまえ、言葉の洪水をワッと一気に浴びせかけるのは。steamのオリジナル版は長文の英語の文章を読める語学力や根性が無いと挫折することになる。持っててよかった、日本語移植版。
まさかの音楽:古代祐三
洋ゲーにしてはやけにFM音源の使い方が上手いな…と首をかしげながらスタッフ・ロールを見て椅子から転げ落ちた。名作と名高い、日本ファルコムのイースやソーサリアンで知られる古代祐三先生が音楽担当に居るではないか。どうもこれは日本移植独自の追加要素らしいですね。しかも移植がなされたPC-9801・スーパーファミコン・メガCDの全部で音楽が違うという大盤振る舞いっぷり。そして原作準拠のsteam版では聴けないという…。持っててよかった以下同文。
総評:悪くはない
やはりダンジョンマスターの完成度が単品であまりにも高いがために、組み込んだTRPG要素がお互いの良さを殺しあってる側面は否定はできない。コンピューターRPGはコンピューターRPGの良さというものがですね…
また、魔法のパーティクル周りの処理に問題があり、発動した魔法が弾ける様を「わー、綺麗だなー。」とぼんやり見守っているとバックグラウンドでモンスターにボコられている。ありていに言うとラグっている。
とは言っても、気になる点はせいぜいそのくらいで、その後続編が3まで作られたところから一定の評価は得ていることはうかがえる。実際、2には今作を超える面白さがあった。コンシューマでは出なかったけど2には本作のセーブデーターの持ち込みが可能なため、2の為にもキャラの育成とマジックアイテムの蒐集に励んでおきたい。
今回も攻略情報はマイナーゲームの物置さんを参考にしました。
また、霊夢と魔理沙で行くEYE OF THE BEHOLDERシリーズも。
スペシャルクエストの説明はマジで助かりました。+5ダガー強すぎワロタ