教育格差
ハロー通信スタッフコラム6
教育格差 ──階層・地域・学歴 (ちくま新書) 筑摩書房 著者 松岡亮二
この本のすごいところは、データで語られていることです。教育というと、身近で思い入 れがあるテーマだからこそ、経験で考え語ってしまいがち(教育行政も残念ながらそうらしい)です。そんな中で、論より証拠を見せられて愕然としますが、自分の子どもや社会のためにどうすればよいかを真剣に考えるきっかけになりました。
• 日本における教育格差は世界で標準レベル
• 教育格差は「出身家庭・地域」で生まれている (子どもの大卒割合でみると、父が大卒なら 80%vs.非大卒なら35%、大都市出身なら63%vs.地方なら39%)
• 出身家庭の社会経済的地位指標で下位16%の中から高学歴に転じるのは1.2万人vs.それ以外18万人
• 学力差は小4から縮まらず、小4の学力は入学時点での学力≒幼児教育に関係がある
• その後は選抜テストによって学力も教育格差もさらに固定化される
要するに、よい教育を受けてきた人は出身家庭・地域がよかったということです。
もちろん大卒だから幸せなのか?といったイデオロギーの話ではありません。ただ、進学であれ 他であれ目標をもって過ごすのと、そうではなくその日を過ごすのでは、将来の選択肢が 大きく違うのは明らかだと思います。
昨今は社会の分断がテーマで、それによって政治の 歪みや、信じられないような犯罪も見られますが、もしかしたら日本にも教育格差があり 格差再生産の構造となっていることも原因のひとつかもしれません。
アメリカで10歳児とその親を研究した論文で、「意図的養育」と「放任的養育」という定義があるそうです。前者は、親が子供の生活や時間に意図的な介入を行うことで子供の能力を伸ばすというスタイルで、子どもは自分の要求を叶えようとする特権意識を持つようになる。後者は、大人の意図的な介入がなくても子供は育つというスタイルで、子ども は大人に対して自分の要求を伝えることを躊躇し権威に従う制約感覚をもつようになる。
親が環境をつくる幼児教育の重要性をよく理解したとともに、そういった環境にない子ど もたちには何をできるかも考えて行動すべきだと感じました。
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