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二大政党制の終焉


妄信する有権者たち

 アメリカ国民は二大政党制を信じているのだろう。そのあかしに、アメリカで第3党の勢力はないわけではない(リバタリアン党など)が、第3政党としての影響力は極めて弱い。ほとんどの国民はメディア主導での二大政党制での大統領選に集中してしまっている。

 実際、共和党はそもそも第3党だった。民主党との二大政党制が形成されたのは、南北戦争の前後頃だと言われている。

 二大政党制は1800年代以降、イギリスの議会制度の発展する過程で成立したものである。しかし、第二次世界大戦では、保守党と労働党で大連立が行われたり、1980年代以降は第3の自由民主党(自由党の後継政党)や、スコットランドの地域政党であるスコットランド国民党などの得票が拡大した。2010年代には連立政権も誕生したのだ。

 カナダも二大政党だったが、1993年に進歩保守党が大敗。2011年には第3党だった新民主党が第2党に浮上した。
 オーストラリアは保守連合と労働党の二大政党だが、その保守連合は自由党とオーストラリア国民党の連合・連立なのだ。2010年では、労働党も保守連合も、過半数を取れず、労働党がオーストラリア緑(第3党)の党などの閣外協力を得て、政権を維持した。

 このように、かつて二大政党制と言われた国々も選挙での敗退で、第3党が躍進したり、連立で政権を維持しなければならなかったり、という始末だ。

 それでも二大政党制を信じているアメリカ人は――いや、アメリカ人に限らず――健全な民主主義のためとか、政権交代で政治家の腐敗を防止する、などと確信をもって発言するのだ。

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