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経営組織論と『経営の技法』#277

CHAPTER 11.2:ネットワーク論 ②対象
 このように、ネットワークの網に入ることで、組織は自分たちでは作りえない力を得ることになる一方で、ネットワークによって自分たちの行動が影響を受けてしまうこともあります。また、このようなことは、組織間の関係だけでなく、個人間でも同じです。
 このようなネットワークのありようによる影響に関して論じてきたのがネットワーク論です。ネットワーク論では、組織間の関係だけでなく個人間や集団間の関係においても、そのネットワークの構造として同じように捉えることができます。どのようにネットワークを構築・利用していけばよいか、ネットワーク論から考えていきます。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』253頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

2つの会社組織論の図

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 上記本文の説明にあるように、ネットワーク論は組織内にも適用されるものです。
 これまで、会社組織の内部か外側か、いずれかの問題を中心に検討してきました。もちろん、相互に影響しあいますが、両者の関係は非対称でした。
 けれどもここでは、会社内外に共通する問題を検討することになります。組織論も、このように多角的に分析することで、より深みが増します。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から投資対象である経営者を見た場合、経営者が対応すべき会社組織外の、他の組織とのコミュニケーションの問題と、会社組織内の、従業員や経営者のコミュニケーションの問題について、共通する問題を探りますので、経営者がコントロールすべき対象もより具体的に見えてきます。市場での競争や競争環境と、会社組織の両方に共通する摂理は、経営者にとってとても役に立つツールとなるはずです。

3.おわりに
 コミュニケーションは、人間が社会的存在である以上、全ての人に共通して関りのある問題です。その経験を重ね合わせながら考えていくべき問題です。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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