2015北海道大学『奥義抄』の研究
問二 第一の歌の宇治の橋姫は、男の二人の妻のうちどちらを指すと考えられるか。理由とともに五〇字以内で答えよ。
【分析】難
歌の解釈を文脈から、正確に理解し、それを踏まえて問われていることについて簡潔に答えなければならない。
【解答案】
もとの妻と考えられる。今の妻が「さむしろの」歌をも
との妻を男が恋しく思った歌だと嫉妬しているので。
【コメント】
問三と問四で問われている内容に、問一で触れないようにしたいところ。
文章後半の「かのをとこ、もとの妻に~」とあるので。
問三 著者によれば、第二の歌の宇治の橋姫は比喩として、用いられたものだが、何を何にたとえたものか。文章をふまえ二通り分けて説明せよ。
【分析】
「かのをとこ~橋姫にaよそへ」
「されば橋をまもる神を橋姫とは~神はふるきものなればとしへたる人にbよそへたるにや」を踏まえる。aとbの「よそへ」の違いに注意したい
設問の構造から考えると、aが設問の[比喩]、bが設問の[たとえ]となっている。
【解答案】
・長年親しんだ人を、「橋姫の物語」から橋姫という比喩で「もとの妻」にたとえている。
・年老いた人を、姫は神で、神は古いものだから、橋姫という比喩で「橋をまもる神」にたとえている。
【コメント】
あくまでも筆者の立場からの見解として考えるべき設問。
[○○を、比喩として☆「橋姫」☆とすることで、△△にたとえている。]という思考が必要。[〇〇→[橋姫]という比喩→△△]という論旨で、[橋姫]が、「橋姫の物語」のそれと、「千はやぶる」によって導かれるそれで、前者が「もとの妻」、後者が「橋をまもる神」の二通りの説明になる。
そのまま問四へつながる設問。
問四 二重傍線部のについて「心得ぬ」とある理由を六十字以内で説明せよ。
【分析】難
二重傍線部は「宇治の橋姫とさしたるぞ心得ぬ。」の解釈は、
「さ」は「そのように」という意味で
「宇治の橋姫と詠まれていることが理解できない。」となる。
傍線部は「されば橋をまもる神を橋姫とはいふとも心得られたり。」を受けているのもポイント、問三が前提となる設問。
【解答案】
恋にまつわる「橋姫の物語」の「宇治の橋姫」とは異なり、宇治橋
を守る神、という意味で「宇治の橋姫」が詠まれているので。
【コメント】
文章前半の「さむしろに」の和歌と、後半の「千はやぶる」の和歌における
「宇治の橋姫」の意味の違いを理解して解答しなければならない。
実は古今集では「橋姫」ではなく、「橋守」で、橋守の死を悼む和歌である。ちなみに宇治橋は非常に古い橋として著名で、「橋姫」も「橋の守り神」という理解が自然。
http://www.milord-club.com/Kokin/uta0904.htm
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