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2019-05-07〜|詩のまとめ

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環天頂アーク

駅前のホールにいた。
空間の中にぽつんと置かれたピアノ。その前に一人の人が座り、ピアノを弾いている。鍵盤から放たれる、宗教的な調べ。祈りと光とを合わせ持って、生まれ出る闇を柔らかく拭い去るような。
光は天から落ちてくる。速度を緩めて、今また柔らかく翻り、飛翔していく。
光の翼になって。

波のさざめきを聞いていた。きらめく光は、虹色になって消えた。
海は遠かった。

星のクズ

日の暮れ近く
夏の過ごし方を思い出す
宵闇を月が明るく照らす

昼間のうちに見る夢で
白昼堂々やって来た遠雷は
トタンの屋根を激しく叩いた

宵闇 月明かりの中
真昼の夢は背後に隠れた

二人を明るく照らすのは
降り注ぐ一粒一粒の雨
それらのすべてが星になり
流れて 宇宙の塵になる