教師のプライドと謎の演劇部(前編)
職員室にて。
先生の呼び出しで入口で待っていた時、2人の理系教師の会話が耳に入りました。
話題といえば先週行われた共通テストのことで、どうやら解いた感想を共有しているようでした。
詳しい話の内容は覚えていないが、1人の先生は物理基礎が満点・物理1ミス、
もう1人の先生は物理が満点・物理基礎が1ミスという結果だったらしい。
僕は驚きのあまり「え!」と声を出しそうになったが、こらえました。
考えてみれば、その先生が解いた教科は自身の担当教科。満点をとって当然のように思えますが、そこには先生の絶対に負けられないプライドが隠されているに違いないと思いました。
僕も、友達同士でテストの点数を言い合い、勝手に勝ち誇った気になったり、 少し悔しい気持ちになったりすることはありますが、それにしても先生方は競争のレベルが高すぎる。
先生方の、担当教科に対する熱い思いが感じられた一場面でした。
今年の共通テスト、僕は履修済みの数学I・A、国語、英語の問題を解きました。
結果は散々でした(笑)が、新しい発見もあり、収穫はあったと思います。
あと2年、自分が何をやらなければならないかが見えました。
先程の2人の理系教師に話を戻しますが、その2人が「物理基礎の大問3が面白いというか何というか・・・」と話していたような気がしました。
物理基礎は現在進行形で履修中なので、今回は手を出さなかったのですが、巷で物議を醸した大問3、一緒に見ていくことにしましょう。
2022年共通テスト 物理基礎 大問3
まず、問題の設定がなかなかにピンポイントです。
登場人物が「王女」「理工師」であることから、時代は中世かと思われますが、「演劇部の公演」という物語の大前提が、この時点で少し引っかかります。
(まあ、この設定がないと、後で大変な矛盾を生み出してしまうはずなので、これはこれで仕方ないが…)
純金製スプーンに混ぜ物があるかないかを巡って言い争っている場面ですが、これにはアルキメデスを彷彿とさせる所があります。
きっとこの後、王女が自らの権力を利用して、大口を叩いた理工師を追い出したことが、理工師の権威に対する逆襲の始まりになって・・・という感じで物語が展開するだろうと思ったその時、
おいおいおいおい( ゚д゚)
理工師追放して終わり!でいいじゃん。
既に権力を後ろ盾にしている王女が、「実験結果」という不動の事実をも味方につけようとしているではないか。どんだけ理工師を潰したいんだ。
ここに来て、突然アカデミックな方向に話が転換しています。
そもそも、この王女はバリバリの理系なのか… 何者なんだ彼女は?
この時点で既にツッコミどころがたくさんあるが、2ページ目へ。
まずは金属の比熱の違いを利用して、スプーンの違いをはっきりさせようという実験です。
スプーンAの温度変化よりも、スプーンBの温度変化の方が若干小さいので、相対的にスプーンBの比熱の方が大きいと思います(つまり[10]は①)。
王女は実験で結果を出し、さすがに理工師は怯むかと思えたが、
確かに、0.1℃の結果の違いは、誤差の範囲と考えることもできます。
理工師もなかなかやるな。
問2へ。
おお、これこそアルキメデスの原理ですね。
どちらも100gのスプーンであっても、中に含まれている物質が違えば、密度の違いによって体積がそれぞれ違うため、水中に沈めた時にかかる浮力が異なるという仕組みを利用しています。
[13]:物体にかかる重力の大きさはどちらも同じだと思うので、③。
(2つのスプーンの質量がそれぞれ違ったら、話は変わりますけど)
[14]:スプーンBの方がAに比べて浮いているため、スプーンBにかかる浮力の方がスプーンAにかかる浮力よりも大きいと思います。よって①。
[15]:浮力は、押しのけた液体の重さに等しいはずなので、浮力が大きくかかっているスプーンBの体積の方が大きいそうです。ここは勘違いして間違えました。
答えは①。
ここに来て王女の反撃が始まりました。
理工師は最後何を言おうとしたのでしょうか。
今回はここまで。
次回は、世界観が完全崩壊した問3の紹介と、諸々の考察をしていこうと思います。
↓↓ 後編 ↓↓