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くーちゃんのちょうちょ
去年もらった、折り紙のちょうちょ。くれたのは、くーちゃん。
くーちゃんのちょうちょ、棚に飾ってあるのだけれど、時々、飛んでいるみたい。窓を開けておくと、たいてい床に落ちている。
風を受けて、飛んでるときを、一度だけ見たことがある。ふんわりと楽しそうだった。
同じように作ったわたしのちょうちょ、お隣に置いてあるのに、ちっとも飛ばない。くーちゃん、何か魔法でもかけたんだろうか。
くーちゃんは本が大好きで、さっさと宿題を済ませたら、ずっと本を読んでいる。「科学漫画サバイバルシリーズ」が好きみたい。
その日は、珍しく、工作に参加してくれて、ちょうちょを熱心につくっていた。やわらかなちょうちょになった。雲みたいなふんわり感。くーちゃんは、ずっとにこにこしていた。
濃い青と薄い青の組み合わせ。くーちゃんは、青が好きなんだね。知らなかったよ。わたしも青が好きだから、一緒だねって、わたしも笑った。
くーちゃんは、最後に「これ、せんせいにあげる!」って、あのちょうちょをくれた。あんなに、気に入ってたのに、もらっちゃっていいのかな。そう、ちょっと思ったけれど、「ありがとうね」と、もらってしまった。
くーちゃんは、習い事が週に七日あるらしい。ん?休みがないね。だから、お預かりの間に宿題をやらなくちゃならないし、大好きな本も読んでおきたいんだって。いつも忙しいんだって、ため息をついてた。
いつもうんとがんばっているんだなぁ。もっと休めたらいいのにと、休んでばかりのわたしはつい思ってしまう。
くーちゃんのちょうちょ、くーちゃんの代わりに、空を飛んでるいるのかなぁ。今日も窓は開いている。
飛べ飛べ。うんと飛べ。
⭐︎放課後にお子さんを預かる仕事をしております。写真は、わたしのちょうちょです。