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過去のわたし、ありがとう!
今日は歯医者の定期検診の日。
朝からそわそわしている。「行きたくないなぁ」とつぶやいたら、休みでゆっくり起きてきた夫に「代わりに行ってきたろっか」と言われた。いや、それ、意味ないから…
「怖いなぁ」と、またつぶやいていたらしい。夫が手を差し出して、「手ぇ貸したろっか」と言う。こんなに頼りになる手はないが、夫の手だけが空中に浮いていているのを想像して、気持ち悪くなってしまった。ちょっと、混乱気味だな。
歯医者に行く時、絶対に忘れちゃダメなのは、ハンカチだ。ハンカチを手に握りしめていたら、少し安心する。痛みにも少し耐えられる気もする。それを知っている夫、だから手を貸そうかと言ってくれたんだろう。夫の手ならもっと安心だろうが、最終手段に取っておきたい。
歯医者さん、行きたくない。でも、定期的に通わないと、わたしはすぐに虫歯になってしまう。しかも、歯の痛みに鈍感なのか、かなり進行してから気づくのだ。そうすると、強い痛みを伴う治療になり、ますます怖さが増してしまう。
コロナ禍を理由に、長く歯医者に行かなかった時もあれほど後悔したのに、それをすっかりと忘れて、この夏、また後悔したばっかり。麻酔を打ち、治療してもらったのであまり痛みはなかったが、長く残る口周りのしびれには困った。気がつかず、ほっぺたの内側を何度か噛んでしまい、その時はよかったけれど、後で痛みが続いたからだ。
それなら、いっときの痛みに耐えた方がいい。今度は、なるべく麻酔なしでやってもらおう。いや、そうなる前に、虫歯を見つけたい。だから、定期的に通うんだ。
そう決めて予約したのは夏のことで、それをすっかりと忘れて、昨日、予定に気がついた。気がついてよかったのだが、やっぱり行きたくない。最初、歯磨きの回数を一日3回にし、丁寧にしていたが、だんだん、適当に戻ってしまった。ずっと、意識するって難しいなぁ。
もう今さら焦ってもしかたないと、あきらめて歯医者に行った。すぐに名前を呼ばれて、診察室へ通される。眼鏡を外して、気がついた。眼鏡ケース、忘れた。眼鏡置きがあるが、そこに眼鏡を入れたら、十中八九忘れてしまうから、カバンの中にそっと置いた。ハンカチだけを取り出して、椅子に座る。エプロンをつけてもらいながら、「気になるところはございませんか」「ありません」と、いつものやり取り。
そうして、椅子が倒れたら、もう後は野となれ山となれ、とようやく腹が座った。ハンカチを強く握ったまま、歯の掃除、フロスを丁寧にしてもらい、歯の表面をブラシで磨いてもらった。ここまでは、痛みもなく、心地よいくらいだ。口をゆすいで、診察を待つ。
先生がやってみえて、緊張はマックスへ。虫歯がありませんように。あっても、ちっちゃいものでありますように。
「虫歯はないし、その他も大丈夫ですね。」
あっという間に終わった…
一気に、全身の力が抜けて、「ありがとうございました」って小声で言った。椅子を戻してもらって、エプロンも外してもらったら、ちょっと力が戻ってきて、そそくさと診察室を後にした。これでしばらくは来なくてもいい!
やり切った感と開放感、それから大きな安堵感に包まれていた。
眼鏡をかけて、お会計を待つ間、考えた。この気持ちを忘れぬうちに、次の予約を入れておこう。きっと、未来のわたしはまた「行きたくないなぁ」って思いながら、ちゃんと歯医者に行くはずだ。そうして、予約をした過去のわたしに、感謝するはず。
会計終えたすぐ後で、次の予約を年明けの1月に入れてもらった。スケジュール帳にも、忘れずに書いた。
そうだ、お礼を言っとかないと。
過去のわたし、ありがとう!