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息子の不登校〜あのときのわたしへ〜



 不登校の記事を読んだ。


 そうか、ますます不登校の子どもたちは増えているのだな。子どもたちが休みやすくなっているなら、よかったけれど、居場所をなくして、悩んでいる子どもが多くなっているかもしれないな。

 今は、通信制高校に通っている息子、小6から中学3年まで不登校だった。

 不登校といっても、子どもひとりひとり、事情は異なり、「こうしたらいいですよ」という明快な「答え」みたいなものはない。不登校は、その子らしく生きるための、スタート地点だと思う。それに、学校に行けることが、ゴールでもない。

 今、それに直面されている親御さんの中で、なんとか学校へ行かせたいと思っている方もみえるだろう。先生に相談したり、育児書を読み漁ったり、専門家への相談したり、病院巡りをしたり…

 なんのことはない、全部、6年前のわたしのことだ。自分の不安な気持ちから、それを解消しようとして、わたしは動きまくった。付き合わされた息子は、どんどん元気がなくなってしまって、最後は寝込むほどにもなった。

 息子をコントロールしようとしてたんだな。自分の望むような息子にしたかったんだ。あのときは無意識だったが、今ならよくわかる。わたしの「答え」を押し付けていた。学校に行きさえすれば、全て解決するとも思っていた。そんな単純なことじゃなかったのに。

 あぁ、あのころのわたしに伝えたいこと、たくさんあるよ。いい機会だから、書いておこう。

 まずは、

 「がんばったね。ありがとうね。」

 もし、できるなら、そう言って、抱きしめて背中をさする。

 アドバイスしてもいいかな。

 最初にできたらよかったことはね。息子の不安な気持ちを息子ごと抱きしめることだった。わたし自身の不安を抱えながら、それでも、それを息子とそれとは、切り離してね。

 子どもは、もやもやした気持ちをスッとは言葉にできないんだ。本人ですら、気がついていないこともあるし。カタチないものを抱えて、本当はしなくちゃいけないと思っていることができなくて、自分への信頼感が減っているみたい。とてもしんどく、怖くて不安なんだね。

 そういう時に、何かをがんばらせるなんて、無理なんだ。まずは安心して、息子が息子らしく居られる場所をつくることが、わたしの役目だったと思う。

 わかってても、できなかったかもしれないね。

 十分、がんばったもんね。自分のことは二の次で、息子のあれこれに必死だった。娘のことは放りっぱなし。夫にも頼らず、ひとり抱え込んだ。こんなわたしが、母だから、育て方が悪かったから、息子はこうなってしまったに違いない。自分を責めて、夜中に泣いて眠れなくて、また朝が来る。そんな毎日の繰り返しだったもんね。

 ときに、欠席連絡をするだけで、涙が出てきちゃうぐらいしんどくて、でもぐっとこらえて、毎日やり取りをする。楽しそうに学校へ通う、他のお子さんがうらやましくて仕方ない…

 それね、「学校に行けるときに連絡しまーす」でいいよ。うらやましいのをやましく思う必要もない。そのうち、そんな気持ちも消えてゆく。

 それからね、きちんと食べることができて、しっかりと眠ることができて、少しだけでも笑うことができたのなら、それで十分だった。それは、子どもだけじゃなくて、あなたも、ね。

 待ってはもらえない世の中だけど、家ではゆったりできるように、何かの期限は設けなくてよかったよ。ゲームの制限もしないでね。楽しくて、悩みをいっときだけでも忘れられるもの、奪わない方がいい。やり切ったら、そんなにやらなくなるよ。本当だよ。エネルギーが溜まったら、子どもは動き出す。何をしだすか、楽しみにしてて。

 「そんなの無理!」って、過去のわたしの声がきこえるような気がする。

 うん。よくわかるよ。そうだよね。あなたがいっぱいいっぱいだから、そう思うんじゃないかな。夫や両親に、もっと頼っていいんだよ。友達に愚痴を言っても、よかったんだよ。ひとりで悩まないで。身近にも、たくさん仲間がいたよ。悩みを話し合い、情報をシェアして、支え合えるようになるよ。

 それからね。自分が今までに身につけた常識を、本当に「そう」だろうかって、もう一度よくよく考えてみて。自分と同じように、子どもにさせて、これからの時代、それが子どもにとって、ベストなんだろうか。

 本当にわからないことばかりだよね。ただ、子どものことは子どもにしか決められない。子どもの人生は、わたしのものじゃないから。それは決して忘れないで。

 「無理だ」と思ってしまう、自分の中に眠っているものは何だろう。そう感じるのには、何か理由があるはずだね。幼い頃に、自分自身が休みたくっても休ませてもらえなかった経験や、甘えさせてはもらえなかった経験だろうか。

 子どもに向き合うと、子どものときの自分に向き合っているようにも感じるでしょ。あなたは、本当はどうしてほしかったの?辛かったね。休みたかったね。甘えたかったね。もう一度、そのときをやり直してみるといいよ。あのときの自分の気持ちごと、抱きしめるみたいに。

 自分がしてほしかったことを子どもがしてほしいとは限らないけれど、子どもだったのときの自分に、そのヒントがあるかもしれない。自分を責めるより、やれることをやれるだけやってみたら、何かが変わっていくよ。ゆっくりゆっくり、だけどね。焦っちゃダメ。こんがらがるから。

 でも、安心してね。6年先のわたし、今、笑ってるよ。

 ずいぶん、回り道しちゃった。上のこと、最初から知っていたらって、思うこともあるけど、やっぱり近道はできなかったみたい。わたしは体当たりしながらしか、学べないから。それでね、この経験たちから得た、たくさんのことは、わたしの宝物になってるんだ。

 そうそう、不登校からは卒業したけれど、息子はまだまだその延長にいるの。その話は、また今度、できたらするね。

 まだまだ、めげそうにもなるときもあるけど、それでも、楽しくて幸せだよ。穏やかだよ。

 だから、大丈夫。
 なんとか、なるんだよ!
 がんばってくれて、ありがとう。
 まずは自分を労ってね。
 大切にしてね!



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