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ウクライナ:CIAの75歳の代理人 ⑷

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 MSMの報道とセレブカルチャーの中心にある特徴は、ゼレンスキーを無私の心でウクライナを専制政治から守る「ヒーロー」として描くことだ。アメリカのヒーロー像は、第二次世界大戦におけるジョン・ウェインのキャラクター、ベトナム戦争の犯罪者を「戦争の英雄」に仕立てたジョン・マケイン、チキンタカ派のロナルド・レーガン、ランボー、インディアンキラーのダニエル・ブーンといったような、大物軍人たちの長い歴史から生まれた古い紋切り型である。

包囲下の大統領?ヴォーグ誌の​​表紙を飾ったゼレンスキー夫妻。[vogue.comより ]

 プロパガンダは今や公然とアメリカの戦争兵器の主要な部分となっており、政府はその事実を隠すことはほとんどない。PRWeekによれば、米国とNATOの同盟国が国内外のロシア人を殺すためにウクライナに供給している大量の武器とは別に、与党保守党と密接な関係にある英国企業を含む、約150社の米国やその他のグローバルなPR会社が、ウクライナにプロパガンダツール〈大量詐欺兵器〉の提供を申し出ている。

 同時に、ゼレンスキーの汚職に関する無菌状態とは言えない記録については、ほとんど報道されていない。それは、米国、英国、および企業が出資するトランスペアレンシー・インターナショナルによって、ヨーロッパで最も腐敗した国としてランク付けされているウクライナの、風土病のようなものである。ゼレンスキーは、自分の後援者であるウクライナ・イスラエル・キプロスの億万長者で米国公認の、腐敗したイゴール・ホロモイスキーなど、この国を支配するオリガルヒ(50人が国富の45%を保有)を倒すのに失敗しただけでなく、パンドラ文書で、英国バージン諸島のオフショア口座とロンドンの不動産に数百万ドルを隠しているゴニフであることが露呈してしまった。ゼレンスキーは、政治、メディア、知的な野党全体を閉鎖したため、ウクライナ人が彼の英雄的とは言い難い金儲けの手口を知るのは難しくなった。

 米英のソーシャルメディアや書籍・雑誌でこうした実態を暴露すると、ロシアの 「ボット」とか 「プーチンの役にたつバカ」というレッテルを貼られることになる。おそらく最も本物の役に立つバカは、2020年1月のトランプ弾劾公聴会で、「我々はあちらでロシアと戦っているので、ここで戦う必要はありません」と発言したロシアゲートランボー、アダム・シフ(カリフォルニア州の民主党、下院永久情報特別委員会の委員長)だろう。

アダム・シフ [thehill.comより ]

これが議会のインテリジェンスと言われるものである。

重要なこと

 ドイツの政治理論家カール・シュミットの洞察を真剣に受け止めなければならない。彼は、強力な国民国家は、自分たちが何者であるかを定義するために敵を持つ必要があり、「政治的行動と動機は、友人と敵との区別に還元することができる」と言った。シュミットの場合に「敵」は悪と解釈される必要はないが、アメリカにとって「敵」は常に、宗教的な不道徳の観念が埋め込まれる。

カール・シュミット[wikipedia.orgより]

 シュミットは最終的に第三帝国にその知性を捧げたが、アメリカ自身は、ウクライナや他のヨーロッパ地域での初期の「ステイ・ビハインド」作戦によって、ナチスの、そのイデオロギーではないにしても、ナチス新兵と同じ戦術のいくつかを適用する準備ができることを確認したのである。

 ソ連、後にロシアを敵として構築することには、少なくとも三つの効用があった。企業資本主義経済内の大規模な不公平から国民の注意をそらすために国家的脅威を作り出すこと;不況に対するヘッジとして異常なレベルの軍事支出を行い、軍産メディア複合体を基盤とした国家安全保障状態と帝国の建設を正当化すること(警察、帝国主義); 第二次世界大戦中の戦争情報局をモデルにした幅広いプロパガンダ複合体を組織して、アメリカ人の自由を奪おうとする悪のリーダーによって脅かされる世界の道徳勢力として国家の正統性を維持すること。

 現実には、自慢の「4つの自由」を国から剥奪し、他の国々、特に第三世界の発展と自由への独立した道を否定しているのはアメリカそのものだ。

 反帝国主義の議論の要点は、ウクライナ戦争を擁護することではなく、その原因をより深く見つめることである。米国は長い間、高度な軍国主義社会であり、実際、戦争から解放されたのはわずか15年である。

 そして、米国が直接侵略(これまでに84カ国)していないときは、戦略的利益に反する国々(チリ、ニカラグア、インドネシア、イエメン、ブラジル、アルゼンチン、アンゴラ、ベネズエラ、コンゴ民主共和国、ガザ、ギリシャ、エクアドル、ガーナなど多数)に対する侵略とクーデターを後援しているのだ。

米国が戦った、または占領した国の地図。空爆と特殊部隊の作戦は除く。[reddit.com より]

 ウクライナ危機もスポンサー戦争である。キエフによるドンバス地方への攻撃は最終的にはアメリカの利益になるのである。「高度に発達した石炭産業、鉄冶金産業、機械製造、化学工業、建設業、膨大なエネルギー資源、多様な農業、密集した輸送網」などその資源が多国籍資本と金融が垂涎の的だからだ。

 ウクライナの向こうには広大なロシアの領土があり、膨大な量のエネルギーや戦略的鉱物など、アメリカのような世界的な拡張主義者で軍国主義的な企業資本主義システムを呼ぶ資源がある。現在のウクライナの危機から抜け出す方法は確かにあるが、それには同国が中立化し、アメリカの同盟によって、ロシア民族の権利と平等性を尊重し実施する非軍事国家へ転換する必要がある。

 また、西側諸国は、NATO軍の大群が国境に近づきすぎたために損なわれたロシアの正当な安全保障上の利益を、ある程度は認めなければならない。国家の安全保障の概念は国連憲章に明記されている。さらに大きな惨事を避けるためには、米国が国連の平和宣言に従って行動し、ウクライナ、ロシア、そして世界の長期的利益となる交渉による解決を阻む障害を取り除くことが必要である。(了)


著者 ジェラルド・サスマン PhD.
ポートランド州立大学教授(国際・グローバル研究科)、ハワイ大学/マノアおよび東西センター、Branding Democracy: US Regime Change in Post-Soviet East Europe (2010)など著書多数

掲載 CovertAction Magazine
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1978 年から 2005 年まで発行された雑誌の全 78 号の完全なバックナンバー セットはこちら

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翻訳元  https://covertactionmagazine.com/2022/09/12/ukraine-the-cias-75-year-old-proxy/ "Ukraine: The CIA’s 75-year-old Proxy"


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