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【続々】学校教育の「三題噺」

(前回のつづき)
「教員不足」「AIドリル」「格差解消」
という3つの言葉をお題にすると、いったいどんな「三題噺」ができるのだろうか?

 ちなみに、「三題噺」とは落語の用語である。噺家が客席から3つの言葉をもらい、それを織り込んで即興の落語をするという演目のことだ。

 前回の記事では、ChatGPTに次のようなプロンプト(指示文)を与えて、ストーリーを考えてもらった。

「教員不足」「AIドリル」「格差解消」という3つの言葉を使って、1000字程度の話を考えてください。最後にオチもつけてください。

 ChatGPTによる実際のストーリーについては、前回の記事をご覧いただきたい。

 ・・・しかし、
「こんなハッピー・エンドになるのだろうか?」
 という気もする。

 そこで、「別バージョン」として後半の展開を自分で考えてみた。

 学校にクレームの電話が入るところまでは同じだが、その後の展開が異なっている。


「先生、質問です!」
「先生、ここがわかりません!」

 教室には、生徒たちの声が飛び交っていた。しかし、その声に応える教師の姿はない。その代わりに、生徒たちはタブレット端末に向かって話しかけている。生徒たちが「先生」と呼んでいるのは、タブレット端末を通じて利用しているAIのことなのだ。

「この問題はね、まずこう考えるといいよ」
「君の間違いはここ。もう一度やってみよう」

 生徒たち一人ひとりの端末をとおして、AIがその学習状況を解析し、個別に問題を出したりアドバイスを送ったりしている。教員の欠員が多いこの中学校には、新たな教育施策としてAIドリルが全面的に導入されていたのだ。

 このところ、全国的に教員不足が深刻な問題となっていた。1人の教員が複数の学級の授業を一緒に受け持たなければならないケースもあり、教育の質が保てないという懸念も広がっていたのである。

 そこで文部科学省は、「AIドリルの導入」を積極的に推進することにした。AIを活用することで教員の負担を軽減するとともに、子どもたちに対して個別最適な学びを提供しようとするものだった。

 導入後、子どもたちはそれぞれのペースで学習を進められるようになった。理解の早い子どもはどんどん先に進み、つまずいた子にはAIが丁寧に解説してくれる。まさに、教育の新時代が到来したかのように思われた。

 しかし、しばらくすると問題が浮き彫りになってきた。ある日、学校にこんなクレームの電話が入ったのだ。

「うちの子、AIドリルのせいで学校に行きたくないと言っているんです!」

 話を聞くと、その生徒は勉強が苦手で、AIドリルから何度も「間違いが多いね」「もう一度やり直してみよう」と言われ続けた結果、自信を失い、学習意欲もなくしてしまったのだ。

 その一方で、成績のよい子どもたちの学習はどんどん先に進み、教室内での学力差はますます広がっていった。AIドリルは効率的である一方で、人間らしい温かさやきめ細かさに欠けていたのだ。

「これでは、格差の解消どころか、かえって教育格差を広げてしまう」

 困った教師たちは、AIドリルのサポートデスクに状況を説明して改善を求めた。

 AIドリルの開発会社は、生徒たちの学習履歴や反応を解析し、すぐにシステムの改修を行った。新たに追加されたのは次の2つの機能である。

・最新の心理学の知見を取り入れた、AIによる「激励・賞賛機能」
・画面を通じて異なる理解度の生徒同士が協働的に学び、そこにAIが参加する「学び合い機能」

 こうした新機能によって、AIドリルに対する生徒たちの満足度や信頼度は飛躍的に高まり、同時に教師たちの負担も軽減されていった。

 ・・・それからしばらくして、文部科学省の「AIドリル担当者」に、開発会社から次のような連絡が入った。

AIドリルの導入によって、教員の必要性が大幅に低下していることが実証されました。今後は弊社の「教育用AIシステム」を全面的に導入することを強く推奨します。

弊社の「教育用AIシステム」を導入すれば、教員の定数を大幅に削減することができるため、その分の人件費から充当をすることで、現行の教育予算の中で契約をすることが十分に可能です。

 ・・・この提案が実行に移されるまでに、それほどの時間はかからなかった。

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