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どこまで本気になれるのか

 前回の記事では、5月7日付の「教育新聞」に掲載された立教大学の中原淳教授と(一社)ライフ&ワークの妹尾昌俊代表理事による対談の前半の内容について紹介をした。

 翌8日の「教育新聞」には、対談の後半の内容が掲載されている。

 お二人によって後半に語られたのは次のような内容だ。

・「審議のまとめ案」では、「管理職が労働時間を管理すること」によって「教師の専門性・自律性・主体性が失われる」ということが給特法を維持する理由として示されているが、それはロジックとして成り立たない

・東京都の「主任教諭」をモデルにした「新しい職」については、教員の処遇改善などにつながる可能性もあるが、マイナスの影響があることも懸念される

・教員の定数増がどこまで進むのか、文科省の本気度が問われている

・長時間勤務への歯止めの仕組みをつくることが必要である(今回の案では「勤務間インターバルの導入」に少し期待がもてる程度に留まっている)

・教師の健康こそ、最優先の課題にするべきである(教師の健康がなければ、子どもたちの未来もない)

・お金のかからない努力も必要だが、それ以上にお金のかかる施策をちゃんと打つ必要がある

・今回の「審議まとめ案」が出ても、それで終わりではない(まだ始まってすらいない)

 いずれも、頷くことばかりである。


 教員の長時間労働を抜本的に是正するためには、次のいずれか(もしくは両方)を実現するしかないはずである。

 一つは、学習指導要領を見直すことで授業時数を削減し、放課後に教員が業務を行える時間を増やすことだ。だが、中原教授は次のような問題点を指摘している。

構造的な問題として、教育界は「カリキュラムを改善すること」を議論する人たちと、「教員の働き方」を議論する人たちが別々なんですよね。これが分かれているし、チグハグなんです。

 同じ文科省のなかでも、教育課程を扱う部署は授業時数の維持、もしくは増加を主張し、働き方について扱う部署はそれに異を唱えるという構図だ。結局、話は平行線のままになる可能性が大きい。

 省内でその調整ができないのであれば、やることはただ一つ。文科省が財務省を説得し、教員の定数増を実現するしかないだろう。それが実現すれば、教員一人当たりが担当する授業のコマ数が減り、空いた時間に授業以外の業務を行うことが可能になるのだから。


 ちなみに、後半の記事の「ラストシーン」が秀逸だ。記事の最後に掲載された写真とキャプション(説明)がこれである。

道を1本隔てて対峙する文科省(左)と財務省(右)。審議まとめ案がどこまで実現するかは、今後の予算折衝における文科省の本気度にかかっている=撮影:藤井孝良

 無論、「審議まとめ案」自体にも見直しが必要だ。教職調整額の増額という「見舞金」の制度を改めなければ、改革のスタートラインにさえ立てないのだから。

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