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ご祝儀には不適切⁈
今年7月に日本の紙幣のデザインが一新された。これは2004年以来、20年ぶりのことである。
新たな紙幣には、一万円札に「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一、五千円札に日本初の女子留学生として米国で学んだ津田梅子、千円札に破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の肖像がデザインされている。
ところが、
「渋沢栄一が描かれた一万円札は、結婚式のご祝儀に適さないのではないか」
ということが一部で問題になっているそうだ。
日本経済の発展に寄与した渋沢栄一だが、女性関係の面では相当に「お騒がせ」の人物だったようだ。2021年度に放送されたNHKの大河ドラマ『青天を衝け』でも、主人公である渋沢が愛人を妻と同居させるエピソードなどが描かれていた。
渋沢のこうした私生活が、パートナーの浮気を連想させるため、
「結婚式のご祝儀に適さないのではないか」
という不安につながっているらしい。
実際、ご祝儀には渋沢栄一の新札の使用を控え、代わりに福沢諭吉が描かれた旧札を使う人もいるようだし、そうした「マナー」を広めている人物もいるらしい。
まるで、新内閣が発足した直後に、「文春砲」で閣僚の不倫スキャンダルが取り上げられたようなものである。
【注】現内閣のことではない。
しかし、こういう「マナー」を気にしはじめたら、
「早稲田大学の卒業生同士の結婚式には、ご祝儀に福沢諭吉が描かれた一万円札を使うことは避けたほうがよい」
であるとか、際限がなくなってしまうだろう。
渋沢栄一の女性遍歴について批判をすることは自由だが、その一方で「過剰なマナー」を他者に要求したり、それを広めたりすることは問題だろう。
少なくとも、
「仮に新郎新婦が不倫をすることになったとしても、それは当人たちの問題であって、ご祝儀の紙幣に描かれた肖像とは無関係である」
ということは確実なのだから。
・・・もっとも、「マナー」にこだわる人も、離婚時の慰謝料を渋沢栄一が描かれた一万円札で払うことについては問題視しないに違いない。