マジョリティとマイノリティ
私が初任者として勤務していた小学校の学区内には、大きな県営団地がある。現在、その団地に居住するのは約3割が外国人の方たちだ。
団地の近くには外国人向けの飲食店や食料品店が立ち並び、「バイク進入禁止」の表示や「ゴミ集積所」の案内板なども多言語表示となっている。
一見、マイノリティである外国人への配慮が行き届いているように思える。けれども、この団地には24か国の外国人が居住していると言われているが、表示に使用されている言語は日本語と英語を合わせても6か国語である。
つまり、同じマイノリティであっても、
「マイノリティの中のマジョリティ」と
「マイノリティの中のマイノリティ」
が存在していることになるのだ。
しかし、これは仕方がないことなのかもしれない。もしも、団地内にいる24か国すべての外国人の母国語に対応しようとすれば、複数の国で使われているスペイン語などはあるにしても、20か国語ぐらいは並記をする必要が出てくるだろう。
それに加えて、外国人居住者の場合は入れ替わりが激しい。新たな国からの転入者があれば、その都度、表記を追加する必要も出てくる。
けっして、この団地で行われている多言語表示を批判しているわけではない。だが、そこに表記されていない母国語を使っている居住者の気持ちを想像すると、
「納得解を見出すのは難しい」
と思わざるを得ないのだ。