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それは「協働性」なのか?

 先日、ある公立小学校を訪問して、校長、副校長、教務主任、経験15年前後の中堅教員、初任3年目の教員から話を聞く機会があった。

 ちなみにこの学校は、
「協働性のある職場づくり」
 をモットーに掲げていて、そのことにも話題が及んだ。

 5人から語られる「協働的」な職場の姿は、
「お互いに何でも言い合える」
「職員同士の仲がいい」
「職場内の風通しがいい」
「行事や研究などに対して協力して取り組む雰囲気がある」
「学級や学年の枠を超えた連携が見られる」
 など、様々だった。

 ・・・だが、これらは「協働性」というよりも「協調性」と言ったほうが合っているのではないか、という気もする。


 「協働性」を一言でいうと、
「共通の目標に向かって、各自が自分の役割や強みを発揮しながら一緒に取り組むこと」
 になるだろう。

 その特徴は、
・構成メンバーが目的や目標を共有している
・個人の能力や専門性を活かしつつ、分担や連携を重視する
・個人としてよりも、チームとしての成果が重視される
 ということだと思う。

 具体的なイメージとしては、
「プロジェクトチームが、それぞれのメンバーの専門性を活かして一つの仕事を完成させる」
 ことなどが当てはまるだろう。

 一方の「協調性」については、
「他者と良好な関係を保ちながら、円滑に物事を進めるために自分の態度や行動を調整する能力」
 ということになるだろうか。

 その特徴は、
・主に人間関係の調和を重視する
・自分の意見を適度に調整して、対立を避ける
・必ずしも目標達成が前提ではなく、関係性や雰囲気を良好に保つことが目的化しがち
 ということだと思われる。

 具体的には、
「会議中に意見の食い違いがあった場合、対立を避けるために妥協点や折衷案を探す」
 などの場面が思い浮かぶ。

 また、「協調性」に類似した言葉に「同調性」がある。

 これには、
「他者の意見や行動に合わせて、自らの考えや行動を変える」
 という傾向が見られ、その特徴としては、
・他者や集団への順応が主な目的となる
・自分の意見や個性よりも、周囲と一致することを優先する
・積極的な関与よりも受動的な側面が強い
 などが挙げられよう。

 たとえば、
「メンバーの大半が賛成している意見に対しては、たとえ自分が反対であっても表立って意見を言うことはない」
 といった場面が思い浮かぶ。

 そして、「同調性」が高じると「同調圧力」になってしまうことは言うまでもない。


 ・・・次回、この学校に伺ったときには、この「協働性」「協調性」「同調性」について質問をしてみたいと思う。

 本当に「協働性」のある職場であるならば、前回は聞けなかった具体的なエピソードが出てくるだろうし、私の質問によって波風が立つこともないだろう。

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