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「リーダー」とは?(下)

(前回のつづき)

 前回の記事では、「サーバント・リーダーシップ」について紹介をした。このほかにも、リーダーシップに関連して最近よく耳にする言葉に、「オーセンティック・リーダーシップ」や「シェアド・リーダーシップ」がある。

「オーセンティック・リーダーシップ」
 オーセンティック(authentic)とは、「本物の」「正真正銘の」「信頼できる」という意味である。
 これは、高い倫理観や道徳観をもつリーダーが、自らの大切にする価値観や考え方に基づいて組織をリードするリーダーシップのことを指す。

 一方、「シェアド・リーダーシップ」の場合、リーダーシップを発揮するのは、組織の中にいる「一人のリーダー」だけではない。

「シェアド・リーダーシップ」
 組織内のメンバー全員がリーダーシップを発揮することで、リーダーの役割をシェア(共有)している状態である。
 状況に応じて、リーダーシップを発揮するメンバーとそれに従って主体的に行動するメンバーとが入れ替わることが大きな特徴である。
 このシェアド・リーダーシップを実現するためには、メンバー一人ひとりが組織のミッションやビジョンを理解し、共通のゴールに向かって進んでいくことが重要となる。

 これらの「リーダーシップ」に優劣をつけることはできないだろう。また、それぞれに課題や難しさもあるといえる。

 たとえば、「サーバント・リーダーシップ」の場合だと、リーダーの過干渉による弊害が考えられる。学校でいうと、初任者に対してあれこれ手を焼きすぎて、それが当人の負担になってしまったり、主体性が育たなかったりするケースがこれに該当するだろう。

「オーセンティック・リーダーシップ」に関しては、リーダーに倫理観や道徳観が欠けていると、「ワンマン経営」になったり「パワハラ」につながったりする可能性が高い。企業のトップや自治体の首長などに見られがちなことである。

 また、「シェアド・リーダーシップ」は責任の所在を曖昧にしてしまう危険があるし、もしも「メンバー一人ひとりが組織のミッションやビジョンを理解し」ていなければ、単なる「烏合の衆」になってしまうことも予想される。

 結局、リーダーシップの形態だけをなぞっても仕方がないのだ。

 さらに言うと、一人の「リーダー」が複数の「リーダーシップ」を時と場合によって使い分けるということも考えられる。

 たとえば、組織を立ち上げる際や非常時には「オーセンティック・リーダーシップ」、平常時には「シェアド・リーダーシップ」、人を育てるときには「サーバント・リーダーシップ」という具合にだ。

 実績を残した古今東西の「リーダー」たちは、こうしたリーダーシップを巧みに使い分けていた(いる)のかもしれない。たとえ、リーダーシップに関する用語や理論など何も知らなかったとしても。

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