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【NHK放送博物館】大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』展

 東京都港区愛宕にあるNHK放送博物館で、今年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』展を開催中である(2月24日まで)。

 このドラマは、江戸時代中期に浮世絵や黄表紙本などの出版業で名を残した蔦屋重三郎(通称、蔦重)の生涯を描くものだ。

 江戸郊外にある吉原の貧しい庶民の子として生まれ、幼くして引手茶屋(※)の養子となった蔦重は、その才覚と行動力を武器に頭角を現していくのである。

※引手茶屋(ひきてぢゃや)とは、遊郭を訪れた客を遊女屋に案内する茶屋のこと。遊里内の案内所のような役割を果たし、酒や食べ物を提供しながら客の希望に合わせた妓楼と遊女を手配していた。

 たとえば、第3話のなかで蔦重が制作に取り組む『一目千本』は、女郎たち一人ひとりをその個性に合わせて様々な花に見立てるというパロディ精神に溢れた本だ。

 また第4話では、女郎の錦絵を出版するための資金を集めるため、モデルとなる女郎に呉服屋が売り込みたい着物を着せるというアイデアを思いつく。

 この江戸時代版の「タイアップ商法」によって、各呉服屋から出資を募ることに成功するのだ。

 ドラマのなかでは、政治の腐敗、経済格差、搾取など、現代社会にも通じる問題が描かれている。

 蔦重の前にも既得権益を持つ者たちが立ち塞がり、その行手を阻もうとする。そして、いずれは幕府による言論統制とも闘うことになるのだろう。

 そうした困難を、これから蔦重がどのように乗り越えていくのかが楽しみである。

 ・・・もしかすると、今の世の中をしたたかに生き抜くためのヒントが、江戸時代の蔦屋重三郎の生き方のなかにあるのかもしれない。

この欲深き時代を
鮮やかに駆け抜けた男がおりました

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