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1年後の「崩れたクリスマスケーキ」
大手デパート・高島屋のオンラインストアで販売されたクリスマスケーキが崩れた状態で購入者のもとに届き、大きな問題になったのは1年前のことだ。
オンラインストアで約2,900個予約販売された「レ・サンス ストロベリーフリルショートケーキ」のうちの一部が、箱の中で崩れた状態で配送されてしまったのだ。
高島屋には12月24日の午後8時までに370件の苦情や問い合わせがあり、翌25日には「購入者へ順次連絡し、お詫びする」と公表した。
購入者からは「あまりに酷すぎるケーキにがっかり」「すぐに捨てた」「とんだクリスマス・イブになってしまった」といった声が相次いだ。
その一方で高島屋の迅速な対応に対しては、「さすが一流デパートの対応」「何事もやってしまった後が大事だね」などの声もあがっていた。
・・・しかし、肝心の崩れた原因については、温度管理や配送状況などを調べたものの、特定には至らなかったという。
その高島屋が、今年も同じ監修シェフや製造工場らのチームで、クリスマスケーキの商戦に挑んだ。
昨年と同じく、横浜市のフランス料理店「レ・サンス」が監修し、埼玉県羽生市の菓子メーカー「ウィンズ・アーク」が製造したケーキを販売したのだ。
1年前の経験を踏まえて、
・ケーキの下段に土台となるスポンジケーキを置き、安定性を高める
・冷凍期間を昨年の「20時間以上」から「2週間」に延ばす
・台座を固定する留め金を増やし、内箱の中でケーキが動かないよう梱包する
など、万全の対策を施したそうだ。
監修した「レ・サンス」のオーナーシェフ・渡辺健善氏によると、昨年の騒動後に全国から多くの手紙やメールを受け取ったが、その大半は応援や励まし、そして「ケーキをまた食べたい」という期待の声だったという。
渡辺氏は、
「本当に勇気づけられた。その声があったからこそ、もっといいものを作りたいという気持ちや、期待に応えたいという思いが強くなり、今年のケーキの販売につながった」
とコメントをしている。
・・・他人の失敗を徹底的に糾弾しようとする風潮があるなかで、少しホッとする話ではある。