『染色、色ブレとか堅牢度とかビーカーとか』〜染色のタイミング❺〜
書いてると少し気になることというのがソコソコでてくるんですが、その説明を始めると収集つかないとか混乱するだろうと思って、気になりつつも“別の機会に“ということにして大抵書いてません。
でも、よく考えると別の機会なんてない可能性も高いので今回はそれを補足としてお届けします。内容バラバラですがかえって読みやすいと思います。
=染色は思っているより不安定=
❶〜❹までの内容で染色時にムラや濃淡がでる場合があるということをところどころで触れたと思います。
実は染色は私たちが思ってるよりずっと安定感ないらしいんです。割と簡単に色ブレします。
=染色工場さんで聞いた話=
『極論なんだとは思いますが、2日連続で何か染めるとして2日間の気象条件がたまたますごい違ったらそれで色ブレしちゃうらしいです。
30℃越えで乾燥した日と雨降って湿度100%で気温18℃とかで気温と湿度が全然違った2日間みたいな条件だったら十分ありえるということです。
季節が違えば同じ条件で染めても色ブレの可能性は高いということをわかりやすく説明してくれたんだと思いますが、実際あまりにも条件が違う日は染めるのをやめる時もあるそうです。』
=コートの縫製工場さんで聞いた話=
『同じ生地でも反物ごとに色ブレがあるので反物ごとに管理するようにしていてコート1着1着は同じ反物の中で完結させてつくる、残反も反物ごとにわかるように管理して修理依頼などにはそのコートをつくった時に使った反物でできる限り対応する(工場さんではやミスやトラブルに備えて大抵余分に生地は発注します。用尺、取り都合による残反も当然発生します)。』
=染色整理加工工場さんで聞いた話=
(織上がった生地、編み上がった生地を洗って次の段階で使えるように必要な加工をして整える工程です、超重要工程です。生地染めの時は染色もします)
『加工・染色において自分たちの技術・設備を思いどおりにコントロールするには水が安定してないと無理だから年間通じて温度と水質が安定している地下水を汲み上げて使ってる』
というように色ブレに関するエピソードはいくらでもあります。
私達が考えてるよりずっと染色は繊細な工程ということでしょうか。
皆さんも店頭で色ブレにあたる機会は結構あると思います。
追加上がったらちょっと色違うとか色違いすぎて別色扱いになってるとか、、。
こんな感じだからしょうがないで済ましてはいけないのですが、知ってる知らないで少し考え方とか説明の仕方とか変わればと思います。
=ビーカーとは=
色ブレのこと書いたらビーカーのことぐらいは触れとかないといけない気がするのでこちらを。
簡単にいうと本番の染色前のカラーサンプル出しです。実際にやってることはかなり厳密。
上記だけだと染色工程が相当アバウトな運任せみたいに誤解されるといけないので。
このくらいやってんのに色ブレする時はするとお考えください。
=染色堅牢度とは=
検索かければいくらでもでてきはしますが、お店でもずーっとついて回ることなのでこの機会にどういうものかわかっておきましょう。
一定の条件時の色落ち、色移りのしにくさの指標です。
こちらどうぞ。
店頭で製品染め以外の染色堅牢度まで把握するのはハードル高すぎですのでザクッと見ていただき、こういうモノなのかということをわかってればいいと思います。
いろんな種類の染色堅牢度があるということとか、ちゃんと基準や試験があるということとか。
=生機とは=
キバタと読みます。店頭ではほぼ使いませんが知っていてもいいとは思います。
=製品染めすると染まらない部分もある=
製品染めは服としてほぼ完成してから染めるので付属とか縫製糸とかタグとか異素材のものが染まらないこともよくあります。
これのスソの二本針の糸とか
裾の裏側です。(ちょっとだけブルーに染まってます)
こちらも
ウールジャージーのカットソーです。
これの3本針の糸。(こっちは全く染まってないです)
ニット・カットの縫製は生地が伸びるので縫製自体にも伸縮性が求められます。伸縮性を持たせたウーリー糸という糸を使いますがポリエステルの糸の場合が多く、綿やウールを染める染料や温度では染まりません。
ロックミシン系の縫製に限らず、ポリの糸ならまずボディと一緒に染まることはありません。
製品染めを見分ける目印として使えますが、デザイン的にいいアクセントになってるケースも多いです。
今回はホントに補足でした。