「子どもが話そうと思える関係性作り」が大切だと思う話
人生最大の決断
「夫の元を離れる」
数年前、非常に重大な決断をしました。
私にとっては本当に命懸けの決断でした。
数ヶ月、数年をかけて自分が出した決断でしたが、子どもたちにとっては晴天の霹靂。
まだわずか数年しか生きてこなかった人生の中で、大きな辛い経験もしたことのない子どもたちがある日突然父親と離れることになった衝撃や絶望感は想像を絶するものだったと思います。
子どもたちに真実を伝える前、新しい住まいに向かう道すがらはしゃぎながら歩いている息子の姿を見て、
「今はまだなんの挫折をしたこともない無垢な息子は、あと少しして私が真実を伝えたら、きっと生まれて初めて何かが壊れてしまうんだろうな、、。
伝えたら、今の息子に戻ることはないだろう。」
自分と夫が仲睦まじく暮らせていたらよかったけど、そう出来なくて子どもたちに味わわなくていい辛さを体験させてしまうことを心から申し訳ない気持ちで息子の後ろ姿を見ていました。
娘もですが、年齢的に物事がわかり始めた息子の方が受けるショックは大きいだろうと思っていました。
今でもこの時のことは正直あまり思い出したくないのですが、、、
真実を伝えた息子は、想像以上に取り乱していました。
泣き叫びながら私に馬乗りになって
「ママ、目を覚まして」
と訴えます。
「パパのことを悪く言わない」
これは絶対に心に決めていたので、理由を聞かれても歯切れの悪い私にさらに腹が立つ息子。
事前にあれこれシミュレーションしていたはずなのに、頭の中は真っ白。
ただ、ひとしきり泣き叫んだ息子は、状況を変えられないことは察知したようでした。
予想通り娘はまだあまり状況を飲み込んでいないようで、ただただ兄の姿に釘付けになっていました。
それから1年ほどは幾度となく離れた理由を聞かれましたが、相変わらず歯切れは悪いながらも
「聞くと面倒くさそうになる」
「聞いてはいけないタブーな話題」
そんな風に思わせないようにだけは気をつけていました。
うまく説明できなくても、ちゃんと何か答えようと子どもたちに向き合うようにしていました。
「聞きたい、話したい。
だけど拒絶されるから言えない、話せない。」
というのは、子どもにとって本当にしんどいと思います。
ただでさえ辛いのに、その気持ちを吐き出すことも許されないと自分一人で抱え込まなきゃいけません。
結局私は毎回明確な回答を与えられなかったので子どもたちにモヤモヤは残ったと思いますが、それでも話したかったらいつでも話していい、タブーはないからということは毎回伝えてきました。
子どもってなんの脈略もない場面でいきなり話がスイッチしたりするので面食らうことも多かったですが、最初の1年は特に子どもの小さな変化にも敏感にアンテナを立てていました。
名前について
話は変わりますが、ある夜、寝かしつけているときにふと息子が聞いてきました。
息子「僕の名前は誰がつけたの?」
私 「パパだよ」
息子「妹は?」
私 「ママかな」
息子「ふーん、、、」
私 「なんで?」
「、、、、、自分の名前、やだ。」
突然いじけたので理由を聞くと、
「だって、からかわれるから」
こらえているけど、壁を見ながら泣きそうな表情の息子に、
「やめてって言ってみたら?」
どうも、女の子がからかって言ってくるようで、息子がやめてと言っても
「なんで?」
と軽く受け流されてまた言ってくるのだそう。
小学生が他の子の名前をいじってからかうことは昔からよくあることだと思いますが、からかわれている側は軽く受け流せずわだかまりが残っていることも実は多いと思います。
「どの子の名前も親が大事につけたもので、あなたの名前にも色々な意味が込められているんだよ」
と話してみても、
「そんなのはわかってる」
と、そのままふて寝してしまいました。
こんな時、皆さんならどうしますか?
その後子どもが何も言ってこなかったらそのままにする?
改めて子どもと話し合ってみる?
「そういうことは生きてたらたくさん起こるから」と、いちいち気にしないよう指導する?
息子の寝顔を見ながらしばらく、どうしたものかと考えていました。
子どもは悪気なく相手の心を傷つける発言をすることがあります。
小学生って割と残酷なところありますよね^^;
素直さ故ではあると思いますが。
「いちいち全部に目くじら立てていたらキリがないし、そういうことは大人になっても起こりうることだからスルー力も必要!」
という考えもあります。
ただ息子は私に話してくれた。
女子と違って男子はその日あったことを詳細に親に話すようなことはあまりありません。
なぜなら学校で起こったこと(過去)よりも、今遊んでいるもの(現在)にすでに夢中だから。笑
息子が自分でスルー出来るなら、きっと私が知ることもなかったでしょう。
私は連絡帳を介して担任の先生宛に、息子から言われたこと、もしそのようなやりとりを見かけられたらそれとなく口添えしてほしい旨を簡潔に記してもたせました。
すると、帰宅した息子の顔は何ともさっぱりした晴れやかなもの。
連絡帳には、
「道徳の内容と重なっていたのでとてもいい課題としてみんなで話し合った」
とありました。
名前についてクラス全員で考えて、
「名前は親からの大切な贈り物で、どんな名前でもからかってはいけませんよ」
と伝えてくれたそうです。
息子をからかったお友達とも仲直りして、すっかり上機嫌の息子を見て私もとても晴れ晴れした気持ちになりました。
解決までの時間は違えど、解決する姿勢が大事
このことから、2点のことをつくづく大切だなぁと思いました。
何か問題が起きても、子どもはすぐに解決方法がわかりません。
親もわからないことが多いけど、面倒くさがってそのままにしてしまったら、
「問題を解決する」
という方法があること自体、もしくは問題自体に気づかないまま、子どもの中に不完全燃焼の問題がどんどん積み重なっていきます。
「なんかむしゃくしゃする」
というのは、未解決の問題が溜まっていって感じる感情じゃないでしょうか。
何か問題が起きても解決する方法を学ばなければ大人になっても文句ばかり言う人間になってしまう気がして。
私も頼りない人間ですが、そんな私でも頼ってくれている間は寄り添って知恵を出していきたいと、息子の笑顔を見ていてとてもそう思いました。
娘が学校に行きたくないとしばらく不登校だったこともありました。
口が重かった娘にどうしたものかとスクールカウンセラーの助けも借りながら根気強く会話を重ねると、
・ランドセルが重くて嫌だ
・黙って食べる給食がつまらない
・〇〇さんが△△さんにしていることを注意できない自分が嫌
こんな本音がポツポツ出てきました。
問題がわかればそれらをどう解決したらいいか?
次のステップに進めます。
子どもの成長に伴って問題の質も内容も変化していきますが、大人にとっては大したことない問題に思えても子どもにとっては自分の世界の全てだったりします。
だから子どもの小さなSOSも軽んじることなく全部ちゃんと拾い上げて聞くことで信頼関係が生まれて話せる親子になれるんじゃないかと思っています。
パパと離れたことは名前みたいにすぐには解決できないけれど、年齢に応じて話せる幅も広がっていくはず。
「不安な気持ちは一人で抱えず投げかけていいんだよ」
「ママはいつでも味方だから」
常に伝えるようにしています。
おかげさまで今のところ、衝撃的な経験をした割に私の見た限りでは子どもたちの心のフットワークは割と軽いかなと思います。
大人は忙しいからついつい子どもの話を後回しにしがちですが、やっぱり子どもも
「どうせ話してもちゃんと聞いてくれない」
と思ったら話してくれなくなるもの。
「お風呂の中の15分」
とか
「寝る前の15分」
くらいでもいいので、子どもの話を聞いたり自分の子ども時代の話をしてみたり。
「この時間は自分と向き合ってくれる」
スマホも用事もせず子どもと過ごす時間を作ると、本当に嬉しそうな顔であれこれ話してくれます。
「そんなこと考えてたんだ」
と思うような告白をしてくれることもあります。
子どもと過ごせる時間は思っている以上に短いもの。
勉強は学校や習い事にお任せして、ただただおしゃべりを楽しむ時間をもっとたくさん作れたらいいな、と思う今日このごろです。
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